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デビューできない馬がいるのはなぜ? 2歳新馬戦を前に小牧太騎手が明かす馬の“繊細さ”

  • 2024年05月28日(火) 18時01分
太論

▲小牧太騎手に馬のデビューやレース中の逸話について質問!(撮影:桂伸也)


先週は、またもやカッコヨカが除外に…。なかなか思った通りに事は運びませんが、1月以来休養していたワンダーブレットが帰厩したという明るいニュースも。「いい感じの状態で戻ってきた」とのことで、小倉での復帰が楽しみです。

ユーザーからの質問は、「デビューできない馬というのは、どういう理由で?」「レース中に落馬しそうになった騎手を助けたというのは本当?」という何とも興味深い内容。はたしてその逸話は本当なのか!?
(取材・文=不破由妃子)

加矢太騎手が初めての騎乗停止に「僕が何かを言うまでもなく、本人が一番わかってる」


──先週は、カッコヨカがまたもや除外の憂き目に…。

小牧 1頭だけ除外になるというレースで、その1頭になってしまった。ホントにもう…(苦笑)。

──それはアンラッキーとしか言いようがない。

小牧 ホンマやね。まぁ今週は入るんじゃないかな。今週は、2歳の秋以来となる1200mのダートを使う予定。ずっとこの条件を狙っていたから楽しみや。温かくなり始めてちょっと緩んできたけど、1200mならいいところがあるはずだからね。あと、ワンダーブレットが帰ってきたよ。今回はいい感じの状態で帰ってきたわ。たぶん小倉で使うことになると思うけど、今のいい状態がキープできれば、まだまだやれると思うよ。

──先週の話題でいうと、加矢太さんが初めて騎乗停止に。結果的にギリギリしのぎましたが、油断してしまいましたね。

小牧 ゴール前はビックリしたね。当たり前やけど、やっぱり外も気にせなアカンわ。あれ、危なかったよ。もし着順が入れ替わっていたら、たぶん30日くらい(騎乗停止を)もらってたんちゃうかな。ああいうのは一番アカンね。

──加矢太さんとお話しされました?

小牧 いや、話してない。まだ会えてないからね。それにね、アカンことをしてしまったというのは、加矢太本人が一番わかっていると思う。僕が何かを言うまでもなく、十分反省してるよ、きっと。そういえば、一次試験の合格通知書が届いたよ。

──それを見て、さらに実感!

小牧 二次試験の案内も入ってた。当日の集合が8時半やから、今回も前日入りや。那須寮に泊まれるみたいやから、楽しみが増えたわ。前日の夕方にでも入って、何十年ぶりかの教養センターのなかをブラブラしてみたいね。

──那須ということは、教養センターのお風呂も温泉だったり!?

小牧 そう、那須寮のお風呂は温泉です。試験の前に、ゆっくり温泉に入れるなんて最高やね。とはいえ、のんびりし過ぎんとね、試験にはシャキッとした状態で挑まな。なんにせよ、楽しみですわ。

──では、質問をふたつほど。「小牧騎手の伝説として、自らもレースで騎乗しながら落馬しそうになったジョッキーを助け、さらにそのレースを勝ったという話を聞いたことがあります。本当ですか? 本当だとしたら、どういう状況だったのか知りたいです!」。

小牧 えーと、どないしてレース中に助けるの(笑)?

──それを聞かれています(笑)。

小牧 いやぁ覚えてないわ…。助けたことなんてあったかなぁ。あったのかもしれんけど、落馬に関してはいろんなことがありすぎて、もう忘れてしまったわ。本当にいろいろなケースを経験してるからね。ほかのジョッキーに足を引っ張られて落ちたこともあるよ。

──それこそどういう状況ですか?

小牧 自分でね、なんで落ちたのかわからんレースがあって。「俺、なんで落ちたんやろう…」と思いながらビデオで確認したら、誰かが僕の足をつかんでた。もちろんその人も落ちたんやけど、落ちる寸前にとっさに僕の足をつかんでしまったんやろうね。

──小牧さん、つかまれたことに気づかなかったんですか?

小牧 そうやねん。レース中は気づかんかった。ほかにも、直線で鞍がズレて、とっさに横にいたジョッキーにつかまった人もおったなぁ。

──続いての質問です。「毎年、デビューまでたどり着けない馬がたくさんいると聞きます。グランディーヴァのデビューも楽しみにしているのですが…。デビューできないというのは、主にどういった理由からなのでしょうか」。

小牧 「仕上がらないから」とか、「気性が悪すぎるから」という理由でデビューできないケースは滅多になくて、やっぱり脚元に不安があるケースがほとんどだと思う。牧場から厩舎に連れてくるところまではきたけど、そこで故障してしまったりね。人間と一緒で、もともと体質が弱い馬はどうしたって弱いから。

──明らかに能力が足りないというケースも?

小牧 地方はデビュー前に能力検査があって、実際にレースをさせてみて、そこで合格したらデビューできるというシステムがあるけど、中央にはないからね。中央で「明らかに能力が足りないから」という理由でデビューできないケースはないと思うけど、ただ、そういう馬はデビューしてもすぐにタイムオーバーになるから。

──そうですよね。やっぱり“無事に”というのが、いかに難しいことか痛感させられます。

小牧 ホンマにそう。グランディーヴァも一度厩舎に入ってきたけど、ちょっと脚元に不安が出て、また牧場に戻ったからね。ただ、小倉に間に合うようには帰ってくるって聞きました。なんとかデビューできたらいいんやけどね。

(文中敬称略)
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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