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現時点で赤ランプのディープインパクト

  • 2011年05月13日(金) 12時00分
 先週土曜日のプリンシパルS。ダービー出走の最終切符1枚をめぐり、18頭立てのフルゲートとなったが、なんと半数近くがディープインパクト産駒だった。

 同じ日の京都新聞杯。こちらは15頭出走して、うち4頭がディープインパクト産駒だった。しかし、どれも2着にすら入れず、ダービー出走は絶望的となっている。

 春のクラシックも大詰め。ラストチャンスのトライアルレース、ステップレースを迎えても、まだ権利取りに奔走しなければならないディープインパクト産駒たち。その数が多い事実を、どうみるべきなのだろう。

 日曜日のNHKマイルC。ここではディープインパクト産駒が2、3着に入ったが、勝ったグランプリボスの父はサクラバクシンオーである。東京のマイルGIで、ディープインパクトがサクラバクシンオーに負けるようではいただけない。

 昨年、初年度産駒を送り出すや、抜群の勝ち上がり率で2歳リーディングサイヤーに輝き、桜花賞馬も出すには出した。今年の総合種牡馬ランキングも、先週の中央競馬が終わった段階で6位につけている。

 だが、昇級戦の内容がだらしない産駒が多すぎる。競走馬としてのディープインパクトが、サンデーの最高傑作であったことは間違いない。種牡馬としてもその資格を有していると思っていたが、現時点ではそれに赤ランプがつく。

 皐月賞の1、2着はステイゴールド産駒とフジキセキ産駒。NHKマイルCを勝ったのはサクラバクシンオー産駒。ディープインパクト産駒の期待外れが、この下剋上を招いていると言えなくもない。

 ディープインパクトは最高級の配合牝馬に恵まれ、最高級の育成、調教環境に恵まれて、ここまできただけなのだろうか。今年デビューする2世代目が、来年の有馬記念を終えるまでは結論を出すことはできないが、かなり悲観的になっている。

 かりに今年のダービーを、ディープインパクト産駒が勝ったとしても、夏のセレクトセールは暴落が必至だろう。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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