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ネオユニヴァース「早熟血統」修正の時

  • 2011年08月19日(金) 12時00分
 この夏、七夕賞で初重賞勝ちを飾り、続く小倉記念も連勝したイタリアンレッドは、ネオユニヴァースの初年度産駒になる。つまり、ロジユニヴァース(日本ダービー)、アンライバルド(皐月賞)と同じ世代だ。

 ネオユニヴァースが初年度産駒を送り出したのは、3年前の2008年のこと。するとロジニヴァースが幸先良く札幌2歳Sを勝ち、ラジオNIKKEI杯2歳S、弥生賞も制覇。皐月賞では不覚を取ったが、不良馬場の日本ダービーで圧勝劇を演じた。

 その皐月賞で穴を埋めたのが、同じネオユニヴァース産駒のアンライバルドだった。若駒S、スプリングSを勝った勢いを、本番の皐月賞制覇につなげている。

 ご存知のように、ネオユニヴァースは皐月賞、日本ダービーの覇者である。初年度産駒の2頭が、いきなり春のクラシックで父子制覇を果たした衝撃は、今も忘れない。「サンデーの最高後継種牡馬の道を歩む」と思ったものだ。

 ところが、ロジユニヴァース、アンライバルドともに、その後が尻すぼみの状態。満足に競馬にも出られず、アンライバルドはつい先ごろ引退が決まった。

 そのせいか、2年目産駒のヴィクトワールピサが皐月賞を勝ち、暮れの有馬記念、今春のドバイワールドCまでも勝ったというのに、ネオユニヴァースの種牡馬としての評価が定まらない。

 先のイタリアンレッドはロジユニヴァース、アンライバルドの2頭がクラシックを制したとき、まだ不出走だった。デビューは3歳の6月である。

 2戦目に勝ち上がり、続く500万条件を連勝したが、以後の道のりは決して順風満帆ではなかった。しかし、5歳の夏を迎えて本格化した。

 ネオユニヴァース産駒の出来にばらつきがあることは確かだろう。いわゆる大物一発タイプなのかもしれない。だが、「早熟血統」という評価じたいは、ヴィクトワールピサ、イタリアンレッドの活躍で修正を迫られている。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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