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2人の5つ星勝負服

  • 2011年09月07日(水) 18時00分
 8月末で内田利雄騎手の釜山慶南競馬場での騎乗が終了。チェックした限り、これまで通算2年以上騎乗した外国人騎手はゼロという過去を鑑みると、2008年に7か月騎乗して今回は10か月騎乗した内田騎手は、再び短期免許を申請しても受理されない可能性が…。

 ただ、そこは釜山リーディング経験者。内田騎手のおかげで韓国人騎手の騎乗技術が向上したという感じが大いにすることだし、またピンクの勝負服が韓国で舞うことを切に願いたい。

 でも今回の免許では最終週になるということで、内田騎手の姿を見に行こう。ということで、8月26日(金)の釜山慶南競馬場に突撃!

 まずは山本茜騎手が頼んでおいてくれたプレスカードを通訳のメンさんから受け取り、4コーナーの奥にある本部棟で広報担当者にご挨拶。その帰り道にスタートが切られたのが第3レース。せっかくだから、直線の入口付近でレースを見る。各騎手ともけっこう気合をつけまくりだ。最後の直線が450mもあるのにここから追い出しを始めるから、最後に二転三転、はたまた四転五転まで発生してしまうと思うのだが…。

釜山慶南競馬場の4コーナー

 ちなみにこの競走では、中団から流れ込みを図った内田騎手が5着。後方のインで脚を溜めて直線勝負に賭けた山本騎手が4着となった。参考までに、4着賞金は228万ウォン、5着賞金は152万ウォンである(100ウォン=約7円)。ついでに騎乗手当は93000ウォン、進上金は5.31%となっている。このレースの馬券売上総額が18億ウォン強だから、苦境が伝えられる日本の地方競馬と比較すると、相当にいい数字といえますなあ。

 と、好景気が続く韓国競馬を実感し、スタンドに戻って昼ごはんを食べて、行くぜパドック診断に!

 というわけで第7競走。このレースも内田騎手と山本騎手が出場している。むむむ? ピンクさんの勝負服が淡い桜色になっている!

ちょっと違和感のある内田騎手

 いつものミスターピンクの姿とはちょっと違和感があるなあ。もしかして、これも前回の『ちょっとピンクな話』に書かれていた「洗濯しすぎ」のせいなのか?

 対して、山本騎手の勝負服は鮮やかすぎる色。おお、そしてズボンのところに名前が刺繍されている。そして左足の裾には「Akane」の刺繍。なかなか目立ってますぞ。

勝負服も鮮やかな山本騎手

 それはいいのだけれど、個人的な馬券は大不振。ということで、8レースと9レースはスタンド内で原稿仕事に没頭することにした。しかし横目でテレビ画面を見た8レースの締め切り5分前。オヨヨ、内田騎手が1番人気になっている!

 自分のパソコンを放置したまま、大急ぎで単勝と馬連を買う。なんとかギリギリ間に合った…。そして2階の窓からレースを見れば、山本騎手とチェ・ギュジュン騎手がゴール前で競り合っている! まずい、山本騎手の馬券は1ウォンも買ってない!

 そこに大外から内田騎手が突っ込んできてクビ差先着。そして2着争いはハナ差でチェ・ギュジュン騎手となって、山本騎手は3着。そのおかげで馬連も当たったけれど、なんだか気分的には複雑だなあ…。

 でも内田騎手の勝利が見られたのでメデタシ。再びパソコンをスタンド内に放置して、後検量の部屋に駆けつける。8レースは勝利騎手インタビューがあるレース。内田騎手はテレビカメラに向かって、こう締めた。

「10か月間、暖かいご声援をありがとうございました。韓国での競馬も生活も、とても楽しかったです。このあとのレースと日曜日、一所懸命がんばりますので応援よろしくお願いします」

 これが最後のインタビュールームかも……という想いがあったのかもしれないが、日曜日に2勝するとはさすが内田騎手!

内田騎手インタビュー

 最終レース後は、両騎手が住むジャンユ(長有)の街で食事をし、先に引き揚げていた山本騎手(この日が誕生日)を驚かせるべくアイスケーキを用意。しかし山本騎手、この日の第5レースでスタート直後に落馬した影響で足が痛くなってきたらしく、自宅療養に入ったとのこと。

 仕方がないから主役不在のなか「センイルチュッカハ〜ミダ〜」(ハッピーバースデーの歌)と歌い、そして完食。アイスケーキだから溶けちゃうもので(^_^;)

山本騎手のお誕生日ケーキ

 それでも山本騎手は日曜日も騎乗していたので、大事には至っていない模様。さらに9月第1週には2勝を挙げて、65戦8勝、2着7回と成績がかなり上がってきている。これからどのくらいの活躍をみせてくれるのか、注目すべき存在だといえるだろう。

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グリーンチャンネル・中央競馬中継キャスターを経て、4月からは同じくグリーンチャンネルの新番組「競馬ワンダラー」の案内人を務める。そのほかにも生産牧場や育成牧場の取材、執筆、各地の競走馬セリ市の進行役も。3月には単行本「廃競馬場巡礼」を上梓。競馬のよき語り部としての研鑽を積んでいる。

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