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“私が貢ぐ悪い女”ゼンノロブロイ産駒

  • 2011年12月02日(金) 12時00分
 ブエナビスタから買うべきか、ペルーサから買うべきか。ジャパンCは悩みに悩んだ挙句、ペルーサを軸にした馬連とワイドのセットを買ってしまった。

 結果はブエナビスタが勝ち、ペルーサはどんじり負け。2着のトーセンジョーダンも、3着のジャガーメイルもしっかり押さえていたから、余計にこたえた。競馬場なので平静を装ったが、自宅観戦ならへなへなと布団にもぐり込むところだった。

 帰りに府中の飲み屋で、「ペルーサから馬券を買う人間は、叶わぬ恋、騙されていると知りつつ、もしくは騙されているのも知らず、せっせと女に貢ぐ男に似ている」とからわれた。確かに、そうかもしれない。

 裏切られても裏切られても、「ひょっとしたら」「今度こそ」と、ついつい甘いことを考えてしまい、また貢ぐ。有馬記念に出走してくるなら、おそらくまた貢ぐことだろう。へんな女に引っかかったもんだ。

 考えてみると、エリザベス女王杯で穴に買ったサンテミリオンも、ゼンノロブロイ産駒である。競走成績も血統構成も、ゼンノロブロイに早熟の2文字は見当たらない。だが、産駒には燃え尽き症候群が蔓延している。

 新勢力のトレイルブレイザーがジャパンCで4着に入ったとはいえ、昨年のクラシック戦線やダート戦線で活躍した馬たちは、多くが今年になって伸び悩んでいる。

 今週はジャパンCダートだが、昨年のジャパンダートダービーを勝ったマグニフィカは登録がない。東京ダービーを勝ったマカニビスティーも、芝に転向して今春の天皇賞で4着となったものの、以後は上積みが希薄だ。

 育て方に工夫が必要な血統なのかもしれない。藤沢調教師はゼンノロブロイを育てた人物だけに、そんなことは先刻承知だろうと思ったが…。

 そう書きながら性懲りもなく、今週のジャパンCダートはマカニビスティーを穴に買おうとしている。私が貢ぐ悪い女とは、どうやらゼンノロブロイ産駒全般のようである。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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