若手騎手から外国人騎手、武豊騎手にいたるまで、小牧騎手の交友関係は多岐にわたります。そこで今回は、彼らとのエピソードから、小牧騎手の目に映る外国人騎手の巧さまで、熱い太論を展開してくれました。
■外国人Jから“小牧ちゃん”って呼ばれてんねん(笑)
──少し前になりますが、日本テレビ系の『未来シアター』という番組で、武豊さんが取り上げられていました。現状について「全然納得していない」と心情を吐露されていて、そのなかで、若いジョッキーたちの活躍について「こんなクソガキたちに負けてられるか」とおっしゃっていたんです。武さんのイメージからすると、すごく意外というか衝撃的だったのですが、小牧さんはご覧になりました?
小牧 観てないわ。へぇ〜、そんなこと言うてたんや。そうか、そうか。
──意外でしたが、なんだかワクワクしたというか、嬉しくなりました。
小牧 そうやろ? そういう存在やねん、彼は。
──プライベートでも親交のある小牧さんですが、最近は武さんとどんなお話をされるんですか?
小牧 他愛もない話ばっかりや(笑)。一応、僕のほうが先輩やから、ユタカくんも気を遣ってくれてるやろうし。僕は常に冗談しか言わない(笑)。まぁ、真面目な話はせんね。
![武豊騎手と飲みに行くことも](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/data/komaki/120724_01.jpg)
武豊騎手と飲みに行くことも
──飲みに行かれたときなどは、話題も多岐にわたるのでは?
小牧 そりゃあ、酔っ払い出したらね。同じ世代やし、いろいろ語り合うよ。ここでは言えへんけどね(笑)。なんせ僕は武豊のファンやからね。一ファンとして、このままじゃ…とは思うし。ただ、僕からいろいろ聞くのも嫌やし、彼の気持ちもわかるしね。言うまでもないことやけど、ハングリーに頑張ってほしいと思ってる。でも彼は大丈夫だと思うよ。そういえば、ユタカくんとこの店でも飲んだことあるな。
──最近ですか?
小牧 いや、ローズキングダムがジャパンCを勝ったあとやね。ユタカくんのほうから誘ってくれてね。「京都行きますか?」って言うから、「俺、普通の日に京都まで出たくないわ〜」って言ったら、「近くでどこかありますか?」って。で、この店に来てね。あの日は飲んだなぁ。よろけて外の植え込みに突っ込んだ覚えがある(笑)。
──それは相当ですね(笑)。そういえば小牧さんは、外国人ジョッキーとも交流があるそうですね。なかでも仲がいいのはどなたですか
小牧 ん〜、ピンナとかウィリアムズとか。僕は英語がしゃべれへんから、仲がいいっていうのとはちょっと違うけど、“小牧ちゃん”って呼ばれてる(笑)。
──まさかの“ちゃん付け”ですか!?
小牧 そう、いっつも絡んでくるねん(笑)。この前、ウィリアムズが直線で外に斜行したときは、通訳の人に「どんなきれいな子がスタンドにおったんや? ってウィリアムズに」言うといて」って言ったりましたわ(笑)。
──ウィリアムズはこの春、すごい活躍でしたね。彼らの活躍については、どう感じていらっしゃいますか?
小牧 巧いもん。仕方がないことやね。
──それが本音ですか?
小牧 うん、そう。でも、いい馬に乗ってるっていうのはあるよね。ジョッキーはいい馬に乗ることが大事。いい馬に乗れなければ勝たれへんし。
──前提として、彼らは各国のトップジョッキーですからね。
小牧 下手なはずがない。まぁ、それでも全員が全員、ものすごく巧いとは思わへんけど。
![馬外国人騎手は巧み](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/data/komaki/120724_02.jpg)
外国人騎手は巧み
──具体的に、どんなところが巧いと思いますか?
小牧 やっぱり抑えるとこやね。折り合いをつけるというより、抑えるとこ。力が強いし、手足が長いもんね。で、みんなよく追えるわ。馬を遊ばせずにしっかり追ってくる。フワッとさせずに、前に進ませるっていうかね。その点、ウィリアムズなんかはすごいよ。スタートも巧いし。オーストラリアは左回りやから、日本でも左回りはとくに巧いね。
──リスポリ騎手が騎乗したルーラーシップのクイーンエリザベス2世Cを観て思ったのは、掛かるって言われている馬で好スタートから仕掛けていって、3番手でビタッと折り合って。抑えるという意味で、これはすごいなと思いましたね。
小牧 そうやね。掛かりながらも、ちゃんと引っ張ってるからね。
──それこそ、馬を遊ばせないぞ、っていう感じをすごく受けました。でもその点は、中央の騎手より地方の騎手のほうが近いのかなと思うのですが。
小牧 以前の中央はスピード競馬で、スーッと行ってスパッと切れる感じやったもんね。今はまたちょっと変わってきて、追わせるというか、追わなアカンというか。
──馬の形自体、変わってきましたよね。サンデーサイレンス全盛のころは、体が薄い馬が多かったような気がするのですが、今はこう、重厚感のある馬が多い。
小牧 そうそう、そうやねん。それはみんな言ってる。なんせ最近は大きい馬が多いね。昔は、余分な肉をそぎ落とすっていう考えの調教師が多かったけど今はそうじゃないもんね。
【ユーザーからの質問コーナー】
──見せムチと肩ムチとお尻に入れるムチ、それぞれ馬に対してどういう作用をするんですか?
小牧 見せムチはヨレそうになったときに見せると、叩くより効くよ。馬はムチが怖いから、見せられた方向にはそれ以上行かない。肩ムチは、行け! っていう軽い合図やね。お尻は、痛いから前に進むんだと思うんだけど、叩いている人間側も一番気持ちが入るし、そういう僕らの気持ちと馬の“痛い”っていう感覚が合体するんじゃないかな。
──その3種類以外のムチの使い方ってあるんですか?
小牧 お腹叩いたり? ないなぁ…。
──直線で追い比べになったときに、たくさんムチを入れているジョッキーと腕で追っているジョッキーがいますが、それは人それぞれ?
小牧 どっちがいいんやろ? 僕もわからんなぁ。ムチが効く馬とそうじゃない馬と…。馬にもよるんちゃうかな。
──小牧さんはどちらかというと、最後は腕で持ってくるタイプですよね?
小牧 そうやね。まぁ叩くときもあるけどね。最後はもう気持ちです、気持ち。追う追わないとか関係ないね。僕らが“ああ、アカン…”って思ったらもうダメですわ。そういう気持ちが馬に伝わって、馬の勢いもシューッと衰えるんだよ、ホンマに。
【次回の太論は?】
家庭の悩み、職場の悩み、人間関係の悩み──次回は、ユーザーから寄せられた人生相談(!?)やディープな質問に、ホロ酔い小牧騎手がガチで答えます!