昨年も上位を占めた有力馬が5頭も出走してきた「小倉記念」は、サマー2000シリーズにもっとも強い意欲を示す。昨年の好走グループのなかで、まだ昇り目のある馬の1〜2着だった。
勝った5歳牝馬のサンレイジャスパーは、昨年のこのレースが4着。続く新潟記念が2着だった。そうはムリの利かない牝馬とあって、目標を得意の小倉(これで3勝目)と新潟記念に定めたローテーションを組んだがそれが大正解。この1勝は大きい。新潟記念で上位に食い込むようだと、シリーズ2勝を記録できるほどの馬はいなそうなのでチャンピオンの座も見えてくる。
グレイソヴリン直父系の父ミスズシャルダン(その父トニービン)に、芦毛の母サンレイククインも同じグレイソヴリン直系のコジーンの産駒。夏の平坦に近いコースで良積を残してきた血の結晶のような配合の馬で、父母ともに同じ永井オーナーの所有馬だった。これが初重賞だが、まだ24戦目。昨年は新潟記念、府中牝馬S、エリザベス女王杯でも好走しているから、今年、このあとも好勝負必至だろう。今回は昨年より一歩スパートを遅らせ、切れ味をなし崩しに使わない作戦も、ちょっと詰めの甘い同士だっただけに大正解だった。
昨年3着のニホンピロキースは、うまく平均ペースで折り合い、一旦は勝ったと思える絶好の抜け出しだったが、七夕賞と同様、あと一歩の詰めが甘かった。ただ、折り合いに苦労することもなく、先行抜け出しの形が完全にできた。あまり良積のなかった2000mにメドが立ったのも大きい。
同じように昨年善戦のヴィータローザは、今年も3角からスパートしたかったが、ちょっと反応が遅くなっている。ゴール寸前はもう1回脚を伸ばすように0.5秒差に押し上げてきたが、ちょっとズブくなったかもしれない。昨年より内容は悪かった。
昨年に続いて出走した組は他に2頭。人気のスウィフトカレントは、昨年とはハンデが違った(55→58kg)のが敗因ではなく、昨年の夏→秋シーズンに比べ、体つき全体のスケールが落ちた印象もある。向正面で少し掛かったところもあるが、このあと再びピークの状態を取り戻せるか、少し心配が生じた。
メイショウカイドウは、1年ぶりでマイナス10kg。特に細くはなかったが、得意の小倉でもう他馬と同じような斤量では出走できない11勝馬。8歳の夏を思わせた。
上がり馬として注目を集めたニルヴァーナは自分の形に持ち込んであと一歩の4着。1000万を勝ったばかりのキャリアを考えれば上々の内容だが、同じタイプのアラタマサモンズに競り負けたあたり、上のゴールドアリュールと同様、OPの芝では少し詰めの甘いタイプだろう。