仏の名手・ルメールの手綱で
日経新春杯を勝った
サトノノブレス。早くから大器と期待されており、また
ディープインパクト産駒(母
父トニービン)という血統からも、そのたたずまいはどこかエリート然としている。
だが、この
サトノノブレスが、いまはなき
メジロ牧場が生産した最後の世代の馬であるということを知ると、そこにグッとドラマ性が生まれてくる。
メジロ牧場は2011年5月20日、
44年の歴史に幕を閉じた。(いまはメジロ牧場元専務の岩崎伸道氏の
レイクヴィラファームが敷地と繁殖牝馬を引き継いでいる)。
名門・メジロといえば知られるのが
天皇賞へのこだわりだ。
アサマ〜ティターン〜
マックイーンと続いた天皇賞三世代制覇は、受胎馬が1頭も出ずに廃用寸前だった
メジロアサマに超良血牝馬をあてがった総帥・北野豊吉の執念のたまものだった。
メジロ最後の世代・
サトノノブレスにその執念の繋がりを見るのは感傷的すぎるだろうか。
日経新春杯のレース後、管理する池江調教師は「メジロ最後の世代の馬で勝ててうれしい」と
語った。
今後は前哨戦を挟んで、
天皇賞・春へ向かうという。たとえ表彰式で生産者の台に誰も立っていなくとも、われわれはそこに紡がれた夢の結実を見ることができるはずだ。