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直線芝1000mの新たな切り口

  • 2008年07月14日(月) 23時50分
 アイビスサマーダッシュが行われる新潟直線1000mというと外枠有利の面ばかりが馬券上のポイントとして強調されがちだ。

 しかし、騎手も乗り方を考えてくるので外枠馬の神通力は昔ほどではなく、ファンの投票動向を加えると馬券上のうまみというのはかなり低減している。そろそろ別な切り口も考えないといけない。

 そこで強調したいのが、ダート適性のある馬の活躍ぶりだ。

 直線レースは時計が出るのでスピード面ばかりが意識されがちだが、実際には軽いスピードを持つタイプの馬が来るとは限らない。

 昨年のアイビスサマーダッシュを勝ったサンアディユが当時初芝の馬だったことは有名だが、同馬に限らず、直線1000m戦における「前走ダート」の馬たちの活躍ぶりはめざましい。01年以降の通算成績では……

      勝率 連対率 単回収 複回収
前走芝   6.8% 13.8% 54% 64%
前走ダート 5.8% 11.4% 110% 93%

 勝率・連対率で芝組に大きく劣るということはなく、回収率では圧倒している。のべ839走(前走ダート組のみ)を前提にしたデータだけに、それなりの信頼度もある。

 今年の春開催でもセレスブルック(15番人気)、スパイン(8番人気)、ケイティラブ(8番人気)、パレスワールド(11番人気)といった前走ダート組が、人気薄で1着まで来ている。しかもこの中でスパイン以外は、前走に限らず基本的にダート主体で来た馬たちだ。

 あまり指摘されていないが、直線1000m戦はスタンディングダッシュから2F目が速くなり、4F目までそのスピードが維持されるかわりに最後の5F目はお互いバテ合いになる、という特殊なレースである。同じ1000mでもコーナーのあるものとは、競走の性質が異なる。求められる資質も違うことが想像される。コーナー付き1000〜1200mと直線1000mの両方を地力でこなしてしまう強い馬ももちろんいるが、「1000直」で変わり身を見せる馬についてはもっと考えられてもいいと思う。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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