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週刊サラブレッド・レーシング・ポスト

  • 2001年11月07日(水) 00時00分
 来年の10月26日に行われる第19回ブリーダーズCワールド・サラブレッド・チャンピオンシップが、予定されているイリノイ州のアーリントンパーク競馬場から、他場に移される可能性が出てきた。

 アーリントンは、昨年の競馬開催再開直後から熱心にブリーダーズCを誘致し、2002年の開催を勝ち取った。ただし、ここには条件が付けられていて、現在のアーリントンの施設では観客席が足りず、2002年の開催までにスタンドの拡張工事を完了するとの取り決めが、競馬場とBC協会の間でなされていたのである。
 ところが、その拡張工事が、いまだに着工の目途すら立っていないのだ。
 原因は財政難にある。

 アーリントン競馬場では、イリノイ州競馬協会からのサポートだけではなく、州政府本体からの資金援助を期待していたのだが、昨今の急速な景気の後退にともない、州政府が支援をためらう姿勢を見せ始めたのである。具体的には、税収の急激な減少によって、州政府の台所は「職員の医療請求に対する支払いすら滞りかねないところ」まで悪化しており、とても競馬場の増改築に当てる予算が組めないとのことなのだ。

 アーリントンでの開催が不可能ということになると、すぐにでも決めなければならないのが代替開催地で、目下のところ、ケンタッキーのチャーチルダウンズか、カリフォルニアのハリウッドパークが有力視されている。或いは、2005年の開催地に決まっているテキサスのローンスターパークが誘致に極めて熱心であっただけに、急遽繰り上げての初開催という可能性も指摘されている。

 ブリーダーズCは昨年も、当初予定されていたサンタアニタ競馬場が施設の改造のために開催権を返上し、急遽チャーチルダウンズに変更という事態があったばかり。持ち回り制とは言え、いささか不手際が続きすぎているような気がする。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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