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ひたすら忠実にを心掛けて

  • 2008年08月27日(水) 22時50分
 少しばかり堅い話を。オリンピックが終わって落ち着いたところで、常々心に引っかかっていたことが浮かびあがってきた。

 最近のテレビのスポーツ報道には、ジャーナリズムという側面が蔑ろ(ないがしろ)にされているのではないか。事実を客観的に伝えることが本義なのに、あまりにも興味本位すぎて、それがプレイを乱すことになっていると思えてならない。事前に大騒ぎされた競技ほど成績が上がらないというのは、何も今回に限ったことではなく、以前からその傾向はあった。大舞台に向けて気持ちを集中させていく過程であれこれインタビューされていくことで、心身のバランスがくずれることは容易に想像がつくではないか。それに、予選、準決勝と進んでいく過程で、いちいちマイクを向けられたのでは、気がそがれてしまう。

 よほどの精神力がないと、大事な本番で持てる力を出すことは困難だというのに、落ち着きのない状況にされたのではたまらないと思うのだ。

 また、場面場面でキャーキャー騒がれたのでは、本当の感動は伝えられない筈だ。そこには報道するという姿勢がない。ちょっと辛口になったが、このことは競馬のテレビ番組とて無縁ではない。

 どうやって競馬の魅力を伝えるか、これはこちらサイドの使命なのだが、如何なる場合にも忘れてはならない基本がある。とにかくレースを忠実に追いかけ、結果をきちんと伝えるのが第一で、クローズアップするのは馬であり騎手でなければならない。競馬の感動は、その事実の中からわいてくるもので、故意に作り上げるものではないのだ。また、その受け取り方は、人によって様々であってよく、伝える側の姿勢は、ひたすら忠実にを心掛けていけばよいのだ。

 面白おかしくに気を奪われていると、そのものの本質が見えなくなってしまう。一番恐れるのはそのことである。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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