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全国区へ羽ばたく馬は・・

  • 2001年11月27日(火) 00時00分
 先週の続きになるが、2歳馬の話題から入る。11月28日に川崎競馬場で行われる新設重賞「鎌倉記念」。これはもちろん、12月25日の総決算「全日本2歳優駿=統一G2」へ向け、トライアル的な意味を持つ。2歳馬レースに「ハンデ」とは場違いだが、差がついてもせいぜい1キロ程度だろう。理解に苦しむことではあっても(たぶんピント外れなお役所仕事)、検討には影響ない。

 鎌倉記念(サラ2歳 オープン ハンデ 1500m)
◎ネオオイスター 的場文
○ジェネスアリダー 桑島
▲トキノアジュディ 森下
△グリーンヒルレッド
△フジノマズル 石崎隆

 ネオオイスターはデビューから新馬→特別2連勝。キャリアの関係でハイセイコー記念は回避したが、現時点で大井2歳No.1と目されている。490キロ台、のびやかな馬体と走法が印象的で、なるほど戦績以上、時計以上のスケールを感じさせる。父スキャン、母の父アジュティケーティングの血統も、地方ダートを走らせてまず最上。

 今のところスピードにまかせて徹底先行だが、イメージは相手なりに自在の競馬ができるタイプか。4場所のレベルを計る意味でも格好の一戦だろう。

 ジェネスアリダーはハイセイコー記念2着。出遅れ癖も含め不器用だが、ひとまず南関東チャンプをうかがうだけの決め脚は持っている。久々の地元川崎をどう走るか。こちらも大事な一戦になった。トキノアジュディはネオオイスター同様2戦土つかずで、その先行争い、スピード較べに興味がわく。典型的な快速血統だが、走りっぷりからはソコソコ柔軟性もありそうだ。グリーンヒルレッドは2戦目でトキノアジュディに惜敗だが、九百54秒7の新馬勝ちからは経験を積んで変わってくるか。北海道から転入し2連勝フジノマズルは、やはりもまれてきた強みがあり、いかにもしたたかなレースぶり。ただこのレベル(道営1勝)の馬にあっさり持っていかれると、地元ファンとしては少し寂しい感がないでもない。

 先週「2歳馬は川崎のレベルが高い」と書いた。それというのも、前回11月デビュー組に逸材が現われている。エスプリシーズは新馬戦、九百53秒7、さして軽くない馬場でレコードに近い圧勝だった。持ったままハナを切り、鞍上今野Jは直線入口、右をみて左をみて、結局ステッキは一度も使わなかった。南関東ではもう名種牡馬の評価が定着した父カコイーシーズ。母系にウインターSを勝ったローリエアンドレ。少々地味だがダート血統としては申し分ない。デビューが遅れたぶん「2歳優駿」は難しそうだが、順調なら間違いなく来春クラシックに乗ってくる。同日54秒0でデビュー勝ちを果たしたキングセイバー(父キンググローリアス)も注目馬。スタートで気持ち出負けしたものの、そこからの加速力は光った。

 ☆ ☆ ☆

 23日の船橋「京成盃グランドマイラーズ」。期待のフレアリングマズルがあっけなく敗れてしまった。スタートから行き脚が鈍く、終始仕掛け詰め。3〜4コーナー、ようやく好位まで追い上げたものの、直線入口で大きく外にふくれた。前走JBCスプリントG1をノボジャックの3着。当日の馬体などはちきれそうに素晴らしく、デキうんぬんの問題とも考えにくい。砂のフィーリングが合わなかったか、あるいは気性面でまだ集中力が薄いのか。来季は「フェブラリーS」まで視野に入っていただけに、この敗戦は何とも痛い。

  京成盃グランドマイラーズ(サラ3歳以上 別定 1600m良)
〇(1)ハセノガルチ    56石崎隆   1分40秒4
▲(2)リガメエントキセキ 56佐藤隆     鼻
△(3)ゴールドマイニング 56一ノ瀬    1.1/2
…………
◎(7)フレアリングマズル  56内田博
単310円
馬複1040円
馬単1690円


 勝ったハセノガルチは重賞3勝目。道中中団から絶妙のタイミングでスパートし、ゴール際追いすがるリガメエントキセキをきわどく押さえた。強烈なインパクトは感じさせないものの、きりっと完成されたマイラーで、何よりレースがうまい。狙った一戦に隙なく仕上げる出川克巳厩舎スタッフ、そして能力を100%引き出す石崎隆騎手。いつもながらこのコンビには脱帽する。ただ千六1分40秒4は深い馬場を考えても平凡で、先につながるものとなると、正直あまり浮かばない。

 ☆ ☆ ☆

 24日「ジャパンCダート」。クロフネの強さは、もう震撼という以外に言葉がないが、これはJRAのレベルうんぬんではなく、クロフネただ1頭がとんでもない高みにいるということだろう。ウイングアロー以下2着争いの中には、地方馬でも何とか・・・と思いたい。ミツアキサイレンス12着。「中央の砂に慣れるのが先決」と川原騎手。いずれにせよ道を開くのは、いつも意欲とチャレンジ精神に違いない。そういえば、先日の笠松「全日本サラブレッドカップ」では、名古屋・ゴールドプルーフが、統一G1 8度目の挑戦で見事な金星をあげている。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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