英国とアイルランドの平地シーズンが終了し、各種ランキングの最終成績が確立したが、これらの統計を見ると改めて、2001年がエイダン・オブライエンの年であったことを認識させられる。
地元アイルランドのトレーナーランキングでは、当然のように首位。アイルランドもイギリス同様馬主や調教師ランキングは勝ち鞍よりも収得賞金で決められるが、2位のダーモット・ウェルド師の2倍近い賞金を収得した圧勝であった。
注目すべきは、イギリスのトレーナーランキングでも、オブライエン師がトップに立っていることだ。こちらも2位のマイケル・スタウト師の1.6倍を稼ぐ圧勝で、アイルランドを本拠地としながらイギリスのリーディングとなったのは、1977年のヴィンセント・オブライエン師以来、ほぼ四半世紀ぶりという快挙であった。
エイダン・オブライエンの2001年がいかに輝かしかったかは、11月13日に達成した記録に象徴されている。この日、フランスのサンクルー競馬場で、師の管理馬バリンガリーがクリテリウムドサンクルーに優勝したのだが、これが師にとって今季23度目のG1制覇であった。これは、これまでアメリカのボブ・バファート師が持っていた記録を破る、一調教師による年間G1最多勝記録だったのである。
しかもこの23のG1制覇のうち、11勝は2歳戦で挙げたもの。今季のヨーロッパにおける2歳G1はほとんどオブライエン師に席巻されたことになり、同時に、この世代が欧州各国でクラシックを戦う2002年は、益々もってオブライエン帝国の独裁体制が進行することを意味しているのであろう。現に、ブックメーカーによる来年の2000ギニーへ向けたアンティポストでは、世界4カ国でG1を制したヨハネスブルグを筆頭に、ナショナルS優勝馬ホークアイ、デューハーストS優勝馬ロックオブジブラルタルと言ったオブライエン厩舎所属馬が、ズラリと上位人気を占めているのである。ダービーのアンティポストも状況は同様で、レイシングポストトロフィー優勝馬ハイチャパラル、同2着馬キャッスルガンドルフォという有力な手駒がオブライエンの手元に揃っているのだ。
オブライエン帝国の栄華は、2002年も揺るぐことはなさそうだ。