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金盃・古豪か新鋭か

  • 2002年03月05日(火) 00時00分
 2月25日、延び延びになっていた平成14年度「南関東重賞日程」がようやく発表された。続く不況、売上げ低迷の中、重賞競走が一挙に8レース廃止、あるいは休止となった。ただ懸念された賞金削減は、統一G、根幹レースにおいては実施されず、ひとまずぎりぎりのところに踏みとどまった形だろうか。

 最も大きな変更点は、3歳クラシック、従来4冠のうち「東京王冠賞」が廃止されたこと。ただこれはもともと、中3週、中3週の4冠、ローテーションの無理が指摘されており、勘ぐっていえば昨年ブリザードの故障の遠因になったとの見方もないではない。冷静にはむしろこちらが適正だろう。ちなみに「羽田盃」4月25日、「東京ダービー」5月30日、「ジャパンダートダービー」7月4日。なるほど格段にゆったりした。

  廃止された重賞は、南関東G2、G3クラス。1600〜2000m、似たりよったり、性格のはっきりしないレースが多く、とりわけ夏以降の3歳限定戦、牝馬限定戦がターゲットになった。切られて仕方がない…が正直本音か。馬のレベルが伴わない底上げ重賞は、やはりファン増員にも売上げ増にもつながらないこと。先日ハイテンションパルが勝った「新世紀盃」など、ただ1年だけで廃止されたレースもある。これは少々情けない。

ファンサイドの視点では、まず統一Gを増やすことが近道にみえる。が、さすがのJRAも先行き不安でこれ以上の賞金負担に踏みきれない事情らしい。とすると地方側の方向は、できる限りのスリム化、その中の内容充実以外に手だてがない。いずれにせよ性格の曖昧なレースはファンをけっして惹きつけない。たとえば「サンタアニタT」「アフター5スター賞」と続くTCKの中距離夏路線など、誰がみても食傷気味。「王冠賞」「スーパーチャンピオンシップ」を廃止したのならなら、かわりに3歳馬の長距離戦はどうか。JRAにはまだ「菊花賞」が存続する。個人的にはダートのステイヤーもまだまだ捨てがたい未練を感じる。

       ☆       ☆       ☆

 「金盃」は春を告げる重賞として、今年46年目を迎える。ハンデ戦、G2ながら歴代勝ち馬には一時代を築いた名馬が並ぶ。ロッキータイガー、カウンテスアップ、ツキノイチバン、コンサートボーイ…。古きよき時代と断って書けば、昭和52年カネオオエが63キロを背負って勝った驚異的な記録もある。

 金盃(3月6日 大井 サラ4歳上 ハンデ 2000m)
  
  ◎イナリコンコルド     内田博
  〇オンユアマーク      鷹見
  ▲ドラールアラビアン    的場文 
  △インテリパワー      張田
  △ゴッドラヴァー      桑島 
  △ゴールドマイニング    一ノ瀬
  △リガメエントキセキ    石崎隆

 「新鋭より古豪…」のデータ。明けて7歳、今さらというイメージもあるイナリコンコルドだが、昨暮れ大賞典からカムバックして、そう差のない8着。続く東京シティ盃も不利な大外枠から3〜4コーナー、一気に追い上げて見せ場を作った。一昨年このレースを圧勝した実績からも条件ベスト。イナリワン産駒。「心臓の素晴らしくいい馬」(内田博騎手)という特徴があり、ここでもうひと花と考えた。

 若い力に賭けるなら4歳オンユアマーク。前走大賞典6着。勝ち馬に1.0秒差と食い下がり充実を示した。.多彩な産駒を出すホワイトマズルが父。フレアリングマズル(3月21日・フロンティアスプリント盃を予定)とはまったく異質の馬力型で、いったんエンジンがかかっていい脚を長く使う。

 昨年の覇者インテリパワーは休み明け。実績上位ドラールアラビアンも依然としてつかみづらいレースが続く。それなら東京ダービー2着、仕上がり早と思えるゴッドラヴァーに妙味があるか。以下、自在性魅力リガメエントキセキ、初コースながら川崎記念4着ゴールドマイニングまで争覇圏に浮かぶ。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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