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短距離戦こそハンデに注目

  • 2009年08月10日(月) 23時59分
 昭和の競馬格言では「ハンデは1kg1馬身、長距離では2馬身」などと言ったものであった。

 ただ、今ではその額面通りに考えている人はあまりいないことだろう。むしろ短距離戦の方がハンデは効いてくる、特に回収率まで意識した場合にはそう考えた方がよい。単穴にはならずとも、複穴の場合は確実にそうでもある。

 1999年以降の10年間に行われた芝1200mのハンデ戦を見ると、特に後半の5年において軽ハンデ馬が複穴をあける傾向がある。ハンデはハンデキャッパーの裁量というよりその時々のシステム的なもので決まる傾向にあるので、しばらくはこの傾向が続くと期待してもよいだろう。

 ただ、同じ軽ハンデでも前走から減っての軽ハンデと、前走から変動が少ない軽ハンデがある。また、前走から大きく減っている馬どうしでの斤量別成績(つまり、前走で重ハンデを背負っていた馬とそうでない馬)の比較も気になるところである。

 まずは前者から確認してみよう。04年以降の芝1200mハンデ戦に出走した53kg以下の牡馬はのべ415頭いるのだが、斤量増減別成績における特徴はあまり無い。ただ、3kg以上減ってきた組のほうが連対率は多少良い。もともと勝率・連対率はかなり低くハイリスクハイリターンな組なので、少しでも的中頻度を上げるべく3kg以上減の組にこだわる価値はあるだろう。

 そのひとつ上の斤量帯、54〜55kgの牡馬についてははっきりとした傾向が出ている。前走からの斤量増減なしの組は回収率が平凡なのに対し、斤量減の組は複勝回収率がプラス。たくさん減っている必要はなく、1kg減っているだけでも良い。

 もうひとつ、前走から3kg以上減った馬どうしでの斤量別成績も見てみよう。こちらは、減った後(つまり馬券を買う対象のレース)での斤量に関わらず複勝回収率は高い。ただ、連対率等は斤量の重い組のほうが高いので、こちらも的中頻度を意識し、「減ったんだけど、今回もそこそこ背負っている」という馬を重視すべきだろう。

 以上の原稿は北九州記念のハンデが出る前に書いているので今回条件にぴったりあてはまる馬がいるかどうか分からないが、他の芝1200mハンデ戦にも使える話なので参考にしていただきたい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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