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展開で考える新潟芝2000m外回り

  • 2009年08月24日(月) 23時50分
 新潟記念の行われる芝2000m外回りコースは、展開によって結果がガラリと変わりやすくデータで予想するのは難しい面がある。

 私自身各地で書いてきたのだが、直線が長いと騎手が仕掛けのタイミングを遅らせる傾向にあり、その反動から9F目(後ろから2F目)が速くなりやすい。というか、新潟外回りではここが最速ラップになることが多い。当然、その前のラップからの急加速や、その後のラップでの急減速が起きやすい。

 今回考えてみたいのは、このコースで上がりが速くなった場合と遅くなった場合での、好走血統に違いがあるかどうかだ。上がりが速ければ物理的な限界があるので、ラップの凸凹も(単純なタイムの数値基準では)できにくくなる。反対に上がりが遅ければ、極端な凸凹はできやすくなる。もちろん、超ハイペースで上がりがかかって上がりが3Fとも遅いというケースもありうるわけだが、あくまで可能性の問題として凸凹が発生する余地が出てくるというわけである。

 コース改修から今年の8/16までに、新潟芝2000m外回りの良馬場で行われたレースは120レース。これを半分に分けようとレースの上がり3Fのタイム(クラス差は無視して)を設定すると、「34.6秒以下」と「34.7秒以上」となる。

 この2つのグループにおける種牡馬系統別を調べてみると、レースの流れによって得意・不得意のある系統とあまり関係のない系統があることが分かる。

 リファール系はレースの流れに関わらず、このコースに強い。サンデーサイレンス系は上がりの速いレースで複穴傾向、上がりのかかるレースで単穴傾向と傾向の違いはあるものの、概ね両方ともこなしている。反対に、ロベルト系はどちらでも冴えない。

 両者でギャップのあるところでは、まずグレイソヴリン系。上がりの速いレースではかなりひどい成績だが、上がりのかかるレースでは連対率が倍以上になる。反対に、ミスプロ系は上がりの速いレースはソコソコこなしているものの、上がりがかかると成績がひどく落ちる。やはり上がりのかかるレースのほうがスタミナを要求されるのだろう。

 そもそもペースをどう読むのか、という問題はあるが、新潟芝2000m外回りにおける出走各馬の取捨にお役立ていただければ幸いである。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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