本連載では基本的に平地重賞の話ばかり書いているので、今週は趣向を変えて阪神ジャンプSを対象としてみよう。
まずは、阪神JSに限らず障害重賞一般でファンが悩むポイントから。現在は未勝利とオープンの2クラスしかない障害だが、両者にはどのくらいのレベル差があるのかということだ。
分かりやすく、未勝利を勝ったばかりの馬が重賞でどのような成績を残しているかを見てみよう。過去10年では連対率14.6%、回収率は単178%・複114%。全馬平均の連対率が16.1%(回収率は単87%・複83%)だから若干ハイリスクではあるが、回収率的には十分な水準にある。
オープン(重賞)→重賞の場合はどうかというと、前走着順別に連対率が38.5%、20.4%、26.1%、14.2%、9.2%(それぞれ前走1〜5着)となっている。前走2着組と3着組が逆転していることは理屈で説明できないが、前走1〜3着グループは全体として回収率も良いので、無理に挽回組を狙わなくてもいいように思える(連対率で見ても前走3着組と4着組の落差が大きい)。
さらに分かりやすいところで、障害重賞における活躍騎手も見てみよう。
過去10年の勝利度数ベースで見ると白浜、小坂、西谷、横山義、熊沢となっており、中でも連対率が高く回収率もプラスになっているのは白浜、小坂、横山義だ。小坂騎手はコウエイトライだけで11連対という事情があるので、一番頼りになる騎手を選ぶなら白浜騎手ということになるだろう。ちなみに白浜騎手は一般戦での成績は以前よりも下がっており、近年は重賞でこそというタイプになりつつある。
最後に阪神JSの過去10年について。前半で説明した、前走オープン上位馬が強いという傾向と、未勝利組が穴をあけるという傾向がそのまま通用する。正確には前走1〜2着馬が強い。また、小倉サマージャンプ組が堅調なので、その点も意識しておきたい。