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スプリント重賞と斤量の関係

  • 2009年09月29日(火) 12時00分
 今週行われるスプリンターズSは定量戦なので斤量面からは実力馬有利と思われそうだが、意外にそう単純な話でもない。

 というのも、最近のスプリント重賞では、単純に斤量が勝敗を決するようなことが少なくないからだ。

 今回はこんな調査をしてみた。

・2004年以降の芝1000〜1200m、3歳上、4歳上の重賞レースが対象

・前走でも重賞に出走していた馬だけを対象とし、オープン特別以下に出走していた馬はカット

・前走がダート重賞だった馬もカット

 残った馬を前走との斤量変動で分けてみると、

斤量増 連対率12.0% 複回収率85%

増減なし 連対率12.4% 複回収率57%

斤量減 連対率15.3% 複回収率98%

 一瞥して分かるように、斤量減組が優位となっている。複回収率は前走にダート重賞を含めればプラスとなるし、含めなくても単回収率は168%と高い水準にある。

 その斤量減組をどのくらい斤量が減ったかによって分けてみると、大きく減った馬は意外に成績が悪く、むしろ1kg前後減の馬のほうが圧倒的に優秀な成績を収めている。

 前者については、格下タイプの馬が前走別定戦→今回ハンデ戦と使われてハンデ戦でも通用しないケースが多いからだろう。後者については、勝ち負けになるレベルの馬どうしはちょっとした斤量差で着順が入れ替わりやすいということを示しているのではないかと思う。

 スプリンターズSではそこまで分かりやすい傾向にはなっていないが、05,06,08年は斤量減組が優勝(06年は外国馬のテイクオーバーターゲットだが)。07年も前走53kg→スプリンターズSで53kgと軽い斤量で増減なしだったアストンマーチャンの優勝だった。

 突出した馬がおらず群雄割拠の状況だからこそ、日本調教馬については斤量減の馬、あるいは他馬との相対的な評価で前走より有利になる馬を重視すべきだろう。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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