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フランスから参戦・シャラナヤの取捨は?

  • 2009年11月10日(火) 12時00分
 今週のエリザベス女王杯には外国馬としてシャラナヤが参戦する。

 今年は日本調教馬の中に配当面で妙味のある穴馬が見つかりづらいだけに、本当ならば外国馬に頑張ってほしいところである。私自身も、早い時期に書いた原稿では、「どうしても穴を狙いたいならばシャラナヤ」というようなことも書いてきた。

 ただ、当該週になってしみじみと考えてみると、今回のシャラナヤは厳しいという結論になってきた。

 エリザベス女王杯では過去にタイガーテイルが10番人気で3着に入り、好配当を演出したことがある(2003年)。当時のタイガーテイルはまだGIタイトルの無い身、それに比べればオペラ賞勝ちのあるシャラナヤのほうがある意味「格上」ではある。

 ただ、格よりも大切なものをタイガーテイルは持っていた。遠征経験である。

 イタリアのカパンネッレへ遠征して、共和国大統領賞で2着(しかもラクティとクビ差)、カナダのウッドバインに遠征して、EPテイラーSで2着。日本に来た時点で、輸送や環境の変化が同馬にとって致命的なマイナス材料にはならないということが確定していた。

 日本で好走した他の欧州馬を見ても、全馬がというわけではないが、長距離でなくても、例えばイタリアやドバイといった遠征歴でも、持っている馬のほうが有利という手ごたえはある。

 一方シャラナヤは、まだキャリア5戦で、しかもフランスから出たことがない。

 3歳での遠征というのも馬にとっては厳しい材料だ。日本における3歳カク外(牡馬も含めて)の優勝例は、87年ジャパンCのルグロリューまで遡る。3歳牝馬では91年ジャパンCでマジックナイトが2着しているが、同馬もフランスから出たことがなかったとはいえ、キャリアは11戦あった。

 「買える」という話に比べて情報価値は乏しいものになってしまうが、シャラナヤについては以上の評価が妥当なのではないかと思う。仮にこの馬が馬券に絡むようだと、日本側の地盤沈下を憂慮しなくてはならない。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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