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週刊サラブレッドレーシングポスト

  • 2002年04月24日(水) 00時00分
 4月17日・18日の両日、ニューマーケットで行われたタタソールズ・ブリーズアップセールは、上場頭数が1993年以来の少なさだったにも関わらず、総売上げが2000年の記録を2%破る392万ギニー(約8億2千万円)のニューレコード。中間価格がレコードタイの2万ギニー(約420万円)、平均価格に至ってはこれまでの記録を35.6%も更新する33,842ギニー(約710万円)という、記録的盛況に終わった。

 実は、この好況を演出したのは、このところ世界のブラッドストックマーケットでは大苦戦が続いていた日本人購買者だった。高値で取り引きされた馬の、上から4頭が全て日本人による購買だったのだ。バブル全盛期ならともかく、ここ数年来聞いたことのなかった、日本人の大活躍だった。

 最高価格馬は、上場番号45番の父セルカークの牡馬。エージェントのジェームズ・ウィガン氏は、昨年のG1マルセルブーサック賞を制したセルカーク産駒のサルクの馬主で、サルクと非常に雰囲気が似ていることから、この購買につながった。価格の18万ギニー(約3780万円)は、これまでの記録12万5千ギニーを大幅に上回る、セール歴代最高価格である。2番目の14万ギニーで購買されたのが、上場番号55番の父ヘネシーの牡馬。母の兄弟にG1勝馬ゼネラルアッセンブリー、いとこにも2頭のG1勝馬がいる良血馬である。しかも、火曜日の公開調教で、軽めながらも抜群の動きを披露。当然の高値であった。3番目の13万ギニーで購買された、上場番号22番の父ポリッシュプレスデントの牡馬も、いとこに同じ父を持つジャパンC勝馬ピルサドスキーがいる良血馬。見栄えのする馬体が、厩舎地区で評判になっていた1頭である。逆に、火曜日の公開調教における動きの良さが評判になっていたのが、4番目の高値となる12万ギニーで購買された、上場番号21番の父グランドロッジの牡馬。早めに動き出すことが出来る即戦力であるのは間違いなさそうだ。

 この他の日本人購買馬では、8万ギニーで購買された上場番号113番の父ムカダーマーの牡馬も馬っぷりが際立っていたし、7万8千ギニーで購買された上場番号122番の父デインヒルダンサーの牡馬も軽快な動きが目についた1頭だ。

 POG的にも、絶対に見逃すことが出来ないマーケットになったと思う。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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