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週刊サラブレッド・レーシング・ポスト

  • 2002年06月05日(水) 10時48分
 今年で5回目の開催を迎えるJRHAセレクトセール(7月8日・9日)が、これまで以上に海外の関係者から熱い注目を浴びている。

 5月24日の選定委員会で上場馬が確定すると、アメリカの競馬週刊誌ブラッドホースのウェブページや、日刊紙サラブレッドデイリーニュースらが、早速プレビュー記事を掲載。主催するJRHAには既に300を越える個人/団体から、英文のカタログ送付を求めるリクエストが届いているという。

 その背景には、この1年の間に各国で見られた日本関連馬の活躍があることは間違いなかろう。昨年12月の香港におけるG1ハットトリック。今年4月のQEにおけるワン・トゥー・フィニッシュ。

 欧州では、軽い疾病で春のクラシックを見送ることになったが、千ギニー馬カジアを直前のレースで破って高い能力を示したサイレントオナーはサンデーサイレンス産駒だし、オセアニアでも4月のイングリスセールで牡馬最高価格で取り引きされたのはサンデーサイレンスの子だった。

 そして北米では、日本産馬サンデーブレイクが、今週末のベルモントSでウォーエンブレムの3冠を阻止する有力候補に浮上している。

 世界の競馬サークルにおいて、『日本』、『サンデーサイレンス』というのが、ひとつのニュー・ファッションになっているのである。

 更に今年は、ドバイのシェイク・モハメド殿下の生産組織ダーレー・スタッドが、サンデーサイレンスをはじめとする日本供用馬に種付けするため日本に送り込んだ牝馬が、日本で産んだ産駒のうち9頭をこのセールで売ることを決断。カタログも、これまで以上にインターナショナルになったのだ。

 上場馬の種牡馬ラインナップを見ても、世界が注目するサンデーサイレンス産駒が30頭。この他、フサイチペガサスやジャイアンツコウズウェイの初年度産駒や、話題のシングスピール産駒も居て、欧米のセレクト市場にも負けない顔触れが揃っているのである。

 これを受けて5月中旬には早くも、アイルランドのクールモアスタッドの代理人が来日して、目ぼしい馬の下見を敢行。シェイク・モハメド殿下の代理人の再来日も確約されているし、香港やオセアニアからもバイヤーが訪れる予定となっている。これで、今週末にサンデーブレイクがウォーエンブレムの3冠を阻止して日本産馬による北米クラシック制覇という快挙を実現したら、北米からもバイヤーがやってくる可能性もありそうだ。

 主催するJRHAではせり会場にドル表示の電光掲示板を設置してこれに対応するようだが、まさに掛値なしのインターナショナルなマーケットになりそうである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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