ダービー卿CTでは、前走もマイル戦を走っていた馬が強い。
「マイル戦なんだから当たり前じゃないか」と思われるかもしれないが、実は重賞において、前走と同距離の組が活躍するというのは、意外に珍しい。
ちなみに、ダービー卿CTの前走芝マイル組とそれ以外の成績は、
・勝率
マイル組 10.1%
その他 2.8%
・連対率
マイル組 16.5%
その他 9.7%
・単回収率
マイル組 125%
その他 15%
・複回収率
マイル組 140%
その他 58%
となっている。特にハンデ戦になって以降、マイル組の強さが増している手ごたえがある。
比較対象として、他の芝マイルGIIIの00年以降について同様の調査をすると、
・勝率
マイル組 6.6%
その他 6.7%
・連対率
マイル組 15.5%
その他 11.6%
・単回収率
マイル組 61%
その他 95%
・複回収率
マイル組 76%
その他 81%
で、連対率以外の指標は距離変動のあった馬のほうが高くなっている。
さらに、「マイル以外の古馬芝GIII」について同様の調査をすると、
・勝率
マイル組 6.8%
その他 6.8%
・連対率
マイル組 13.5%
その他 13.5%
・単回収率
マイル組 97%
その他 91%
・複回収率
マイル組 69%
その他 86%
と一見似ているが、一番大事な指標である複勝回収率に大きな開きがある。
同距離組の成績がハジけない背景には、同距離の前哨戦(主にOP特別)との関係性があるのではないかと思う。前哨戦を勝ってきた馬は人気になるので本番で好走してもあまり回収率には貢献できない。一方で前哨戦負け組が激走することは少ない。さらに、前哨戦のOP特別以外に他重賞(違う距離の)をステップとする馬が多く、そちらのほうがより頻繁に好走してしまう……といった事情である。
その点ダービー卿CTは、東風S組と東京新聞杯組の好走頻度が高く、かつ人気馬も穴馬も(前走好走馬も凡走馬も)まんべんなく走っているので、前出のような好成績がマークされているのだと思う。ただ、「まんべんなく」というのがクセ者で、どのあたりに網を張ればいいのかが悩みどころだ。