ホエールキャプチャの曾祖母タレンティドガールは、今から24年前、3歳になったばかりの正月明けにデビュー。未勝利を勝ち上がったのは3戦目で、2月半ばのことだった。
このため桜花賞は間に合わなかったが、格下の身(11番人気)で出たオークスで3着に好走。その秋、エリザベス女王杯(当時は2400m)に出走し、“牝馬三冠”を目指すマックスビューティを退けて、戴冠のゴールを駆け抜けた。
父のリマンドはステイヤー血統で、代表産駒にオペックホース(ダービー)、テンモン(オークス)、アグネスレディー(オークス)がいた。後年、母の父としてもメジロマックイーン(菊花賞、天皇賞・春)を出している。
また、タレンティドガールの半兄ニッポーテイオーは、2週前の天皇賞・秋を勝ったばかり。兄妹による連続GI制覇のおまけ付きだった。「ステイヤー血統の父と、名牝系の底力」に、長距離大レースにおける血の重要性を、思い知らされたものである。
4年後の1991年、生産牧場で馬主でもあった千代田牧場は、タレンティドガールを欧州に送り込んだ。時の名馬ナシュワン(英ダービー)を付け、「スタミナ、成長力に富む世界レベルの名牝系に押し上げたい」という夢からだった。
生まれたエミネントガールの繁殖成績は、期待に応えてくれるものではなかったが、孫の代になってホエールキャプチャが誕生。あの20年前の熱い思いが、やっと実を結び始めた。
確かに父のクロフネは、スタミナ、成長力、クラシックの底力に不安がある。しかし、母系にはリマンド、ナシュワンと2代続けて欧州のステイヤー血統が流れ、さらにそこにサンデーが注入されている。2400mのスタミナに問題はないだろう。
「20年前の熱い思いが、オークスで結実」
たまには、そんな血のドラマを見てみたい。