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若駒と若武者

  • 2002年10月21日(月) 16時53分
 10月16日、大井「ハイセイコー記念」。スオウライデンがしぶといレースぶりで南関東2歳初の重賞を勝ち切った。レース前の逃げ宣言とは裏腹に、外ベルモントソレイユが強烈なダッシュ力。ただそれで逆に馬が落ち着いたか、2番手を終始スムーズな追走。直線鞍上のステッキに応え一歩一歩力強く伸び、ゴール寸前相手をきっちりねじ伏せた。磯部堯オーナー、庄子調教師、森下騎手とも、昨年スオウリージェントに続き2連覇。父ワカオライデン、ひとまずは完成度の勝利にみえるが、1590m、1分42秒0の勝ちタイム。同日古馬「B2特選」が42秒5だから、あながち低レベルでもない。

ハイセイコー記念(サラ2歳、定量、1590m梢重)

△(1)スオウライデン    (54・森下)  1分42秒0
◎(2)ベルモントソレイユ  (54・石崎隆) 1
△(3)グリンゼファー    (54・桑島)  3
○(4)ホクトエース     (54・鷹見)  2
△(5)ナイキゲルマン    (54・的場文) 11/2
…………………………………………………………………………
▲(6)ピープルズチャンプ  (54・金子)
△(12)マルカセンター    (54・今野)

単920円 馬複790円 馬単2740円
3連複2350円 3連単17920円 

 スオウライデンはこれで4戦2勝。デビュー戦を1000m1分0秒5圧勝(2着に17馬身)で注目されたが、続く2戦、オープン→特別とベルモントソレイユ、ホクトエースに競り負け、やや株を下げていた。予想とすると、イメージだけで“逃げ馬”と決めつけたのが失敗だったか。パドックなど、ややテンションは高いものの、この血統らしく素晴らしい活気があった。「2番手はどうかと思ったけど、去年の馬(スオウリージェント)より折り合いがついてレースもうまい」と森下騎手。母の父モガミ。ズバ抜けたスケールはともかく、今日の内容なら1800mあたりまで距離は保つ。

 対してベルモントソレイユは1000m通過62秒6、持ったままマイペースで逃げながら最後あっけなく失速した。最後の1F、推定13秒3。心身両面でまだ逞しさが不足しているということか。もっとも石崎隆騎手は「スタートが決まったから行ったけど、2番手なら違った結果になったかも…」と含みを残した。ハチきれるような好馬体と豪快な脚捌き。まだ上積みには期待できる。

 中団で流れに乗り直線伸びたグリンゼファーは能力通り。ぎりぎりの馬体にみえたが実戦に行って芯が強い。ホクトエースは8キロ増で立派すぎる体つき。芦毛の巨漢で、母の父アイランドハンターにムードが似ている。距離延びての夢は大きく、今後どうレースを覚えてくるか。殿りから終いだけ追い上げたナイキゲルマンもこれからの馬だろう。穴馬に推したピープルズチャンプは好位からジリ下がりでスタミナに不安。殿り負けマルカセンターは連戦の疲れが出ているか。素質的にこれで終わる馬とも思えない。

       ☆     ☆     ☆

 10月14日、大井再デビューを果たした御神本訓史騎手。まずは上々の滑り出しだった。初日第3R、騎乗2戦目ブラックエンジェルであっさり初勝利を飾り、以後も期待通り、イメージ通りの好プレーをみせてくれた。「嬉しいというよりホッとしました」と本人の弁。横断幕がかかったパドック、当初はさすがに表情が堅くみえたが、雰囲気にさえ慣れてしまえば、やはり腕とセンスが際立ってくる。スタートが抜群にうまいこと、流れが瞬時に読めること。結局6日間トータル[3-3-2-15]。後半やや勝ちあぐんだが、騎乗した馬の能力を考えれば合格点以上の数字だろう。「益田と違い大きな馬場だから、最後まで馬をしっかり追えるように力をつけたい」。あえて課題といえばそのあたりか。前々で捌く技術、巧みさはもう十分わかった。次開催(10月28〜11月3日)では「直線一気の御神本」をみてみたい。

       ☆     ☆     ☆

ロジータ記念(10月23日、サラ3歳牝馬、別定、2100m)

◎スターオブブリッジ (森下)
○ラヴァリーフリッグ (石崎隆)
▲ブルーマドンナ   (左海)
△グリーンヒルレッド (金子)
△サルサクイーン   (的場文)
△イシノラピド    (甲斐)
△ベルモントスピネル (桑島)

 スターオブブリッジは関東オークス2着。距離2100mをよく折り合い、直線強烈に伸びてきた。ラヴァリーフリッグを捕え、サクラヴィクトリアに首差と迫ったところがゴール。今思えばきわめてハイレベルの一戦だったということだろう。続くプリンセス賞3着は大井初コース。以後3ヶ月の充電を経て、前走戸塚記念ジェネスアリダーの2着なら、ここへ臨むステップも申し分ない。父トロットサンダー、母の父スズカコバン。距離はまず万能、そして本格派の追い込み馬と判断する。対してラヴァリーフリッグは、絶対スピードを含む総合点でリードするが、前へ前へ突き進む気性に2100mで一抹の不安がある。いい意味で枯れてきたときが真の本格化か。ともあれここはスター→ラヴァリーの馬単を厚めに買う。

 潜在能力高いブルーマドンナが、前走自己条件ながら久々の1勝でいいリズムを引き戻しつつある。中間ひと息入れたサルサクイーンなら、グリーンヒルレッド、イシノラピドも互角。故障でクラシックを棒に振ったベルモントスピネルのレースぶりにも注目したい。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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