スマートフォン版へ

砂の長距離走者

  • 2002年11月25日(月) 14時07分
 11月21日、大井「東京記念」。オンユアマークがステイヤーの本領を発揮した。格下から挑戦したミノリコウジがハナを切る意外な展開。当然ペースは遅かったが、中団よりやや後ろでスムーズに折り合い、直線馬群を割って素晴らしい切れ味(上がり3F推定37秒8)。それこそ一瞬のうちに突き抜けている。終わってみれば、やはり典型的な長距離走者というしかない。同馬は重賞初制覇。ただし、昨年3歳馬ながらこのレースをマキバスナイパーの3着。明けて春の大井記念2500mを2着。長丁場なら常に勝ち負けのレベルがあった。「先生(福永二三雄調教師)の指示通り、折り合いを第一に考えた。正直道中は届かないかなと思ったけど、素晴らしい脚で伸びました」と鷹見騎手。腹をくくったファインプレーといえるだろう。馬自身も前走「かちどき賞」より12キロ減と絞れ、パドック、返し馬の気配も絶好にみえた。案外気性の勝った快速馬を多く出す父ホワイトマズルだが、本質的にはパワー、スタミナの方が身上のはず。オンユアマークはむしろズブいくらいのおっとりタイプで、すらりと手脚が長い体型からもやはり耐久レースが性に合う。選出されれば次走は暮れの「東京大賞典」。今後統一Gレベルに届くかどうか。あとは絶対スピードをどう磨くかにかかってくる。

東京記念(サラ3歳以上、別定、南関東G2、2400m良)

○(1)オンユアマーク   (56・鷹見)  2分35秒9
◎(2)スプリングシオン  (56・左海)  1.1/2
△(3)カミスドリーム   (56・秋田)  1.1/2
 (4)ゴールデンカバリエ (55・内田博) 1.1/2
 (5)マイングッド    (56・御神本) 鼻
……………………………………………………………
▲(7)コアレスハンター  (57・的場文)
△(9)プリンシパルリバー (57・石崎隆)

単450円 馬複1050円 馬単2130円
3連複5940円 3連単25870円

 ◎に推したスプリングシオンは、道中勝ち馬より終始1馬身ほど前を進み、しかし4コーナーで外を回った。ひいき目は別に、レース内容とするとほぼ互角の評価でいいと思う。こちらもパドックなどきわめておっとり。闘志が前面に出てこないが、逆にエンジンかかっていい脚を長く使える。ディンヒル産駒で芦毛の巨漢。スター候補の雰囲気は十分で、オンユアマーク同様、今後はスピード面と器用さが課題だろう。しぶとさを最大限に発揮したカミスドリーム、カカリ気味ながら入着ラインにとどまったゴールデンカバリエは健闘。ただこの2頭ともこれ以上の昇りめとなると疑問で、むしろ御神本騎手で最後見せ場を作ったマイングッドに変身の期待があるか。同騎手は今開催3勝を積み上げ、現在大井11勝。めぐり合わせしだいでは来シーズン、的場文、内田博騎手の強力なライバルにもなりえる。

 その的場文・コアレスハンターは絶好枠、好スタートをあえて控え3番手。馬群の中で終始プレッシャーをかけられた印象もあり、3〜4コーナー、すでに手応えが怪しかった。名手にも作戦ミス、思惑違いはあるということだろう。逆にいえばこれで短〜マイルの適性がはっきりした。年明けの東京シティ盃・1390mを目標に立て直すと聞いた。プリンシパルリバーは、前走「かちどき賞」同様細身の馬体でイライラしたパドック。心身両面でさっぱり成長が感じられない。向正面一気にまくって出たのは、人気馬ゆえ見せ場を作った、ひとまず鞍上のエクスキューズにみえた。直線あっけなくスタミナ切れ。予定通りなら東京大賞典に進むが、現状では厳しい情勢というしかない。

       ☆     ☆     ☆

浦和記念(11月28日、サラ3歳以上、別定、統一G2、2000m)

◎ベルモントアクター (石崎隆)
○ネームヴァリュー  (佐藤隆)
▲マキバスナイパー  (左海)
△スナークレイアース (和田)
△マイネルブライアン (北村)
△キングセイバー   (酒井)

 前走「京成盃グランドマイラーズ」で連勝ストップ。ひとまず“神話”が崩れたベルモントアクターだが、ごく客観的にみれば無傷のV17という看板に、ひと息内容と重みが乏しかった。馬自身当日10キロ増で急仕上げ。スタートで後手を踏んだことも含めると、むしろいい経験になったと判断する。トーシンブリザード(回避)と訣別し、今回ふっ切って乗れる石崎隆騎手。改めて潜在能力に注目したい。本来スピードの絶対値と競馬センスで勝負するタイプ。浦和2000mはまさしくベストのイメージが浮かぶ。

 そのグランドマイラーズ圧勝ネームヴァリューはもちろん有力だが、JRA時からすんなり先行できないとモロい面が同居していた。底力で見劣らないマキバスナイパー◎という手も当然あり、以下、スナークレイアース、マイネルブライアン、ともに初コースの浦和でフィーリングが合えば好勝負。東京ダービー以来の復帰戦キングセイバーのレースぶりにも興味がわく。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング