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うますぎた!? クラレントのデイリー杯2歳S

  • 2012年01月17日(火) 18時00分
2011年回顧の第2回は、「レース」について。記憶に新しい朝日杯FSや阪神C、直線一気が印象的なNHKマイルCまで、自身の心象そのままに語ってくれました。

■負けたレースのほうが印象に残るね

──昨年は、「GIレースがもうひとつ…」とのことでしたが、なかでも最後の朝日杯FS(クラレント7着)は、スタートさえ互角なら…と思わせる一戦でした。

小牧 そうやねぇ、出負けがね…。もうちょっと前で競馬がしたかった。もともとスタートはあまりいいほうではないんだけど、GIやし、一か八か、出して行こうと思ったんだけどね。タイミングが合わなかった。

──最後はジワジワと伸びてきていただけに…。

小牧 そうそう。せめて中団くらいにつけられていたら…。それでなくても中山の芝1600mは、枠順とか位置取りに左右される難しいコースなんでね。ただ、あれでそう差のない競馬ができたっていうことは、やっぱり力があるんだなと思いましたけどね。

──7着とはいえ、コンマ7秒差ですものね。小牧さんとしても、決して悲観する内容ではなかったと。

小牧 うん。出して行ったぶん、掛かったしね。道中でハミを取ったぶん、お終いがそれほど切れなかった感じです。改めて、もうちょっとゆったりした距離だったら、力を出し切れるんじゃないかと思いましたね。

──今後に向けての適性が、徐々に見えてきましたね。

小牧 そうですね。距離もそうですけど、やっぱり良馬場でしょうね。あとは、もう少し腰がしっかりしてくれば、もっともっと良くなってくると思います。

──年末にはもうひとつ、阪神Cがありました。こちらはこちらで、大きな不利があって…(リディル11着)。

小牧 不利というか…、正直、半分落ちてたからね。落ちなかっただけ、ツイてたかなって思ったくらい。馬もひっくり返らなかったし、僕もケガをしなかったので、それが救いですね。ああいうことがあったので、結果に関しては考えても仕方がないです。

──リディルについては、マイルCSのあとに「もっと距離が短いほうが…」とおっしゃってましたが、1400mを使ってみていかがでしたか?

小牧 うん、やっぱり乗りやすかった。今後は高松宮記念を目指すと思うので、楽しみはありますね。ただ、GIを勝つのは難しいね。去年はつくづくそう思ったよ…。

やはりGIは難しい…

──2011年は、GIには10鞍騎乗されました。一番印象に残っているレースはどれですか?

小牧 リディルで引っ掛かったことかなぁ(マイルCS)。普通に乗ったら勝てるかな、と思って臨んだんやけど、まさかあんなに引っ掛かるとは…。あとは2着にきたNHKマイルC(コティリオン)。あのレースは、「ああ、展開が向いてくれると、こういうこともあるんやな」って思ったレースやったね。

──2番人気でしたが、自信を持って臨まれたレースではなかったんですか?

小牧 コティリオンはね、初めて乗ったときから、ちょっと乗りづらいイメージがあってね。ただ、「うまく乗りこなせれば、この馬は走るな」とはずっと思っていて、自分でも研究してね。だから、NHKで2着にきたときは、すごくうれしかった。勝てればもっとよかったんやけどね。

──東京ということもあってか、腹をくくった騎乗に見えました。

小牧 いやいや、もう…、とにかく引っ掛かるんでね。口向きもちょっと外に張り気味なところがあって、なにせソロッと乗っていこうと思ってたんやけど、馬があんまりにも行かなすぎた(笑)。だから、道中は「あれ?」と思いながら乗ってたんやけど、最後はいい脚を使ってくれたね。

──個人的には、マカニビスティーで4着した天皇賞・春が印象に残っています。まったくロスのない競馬で、馬の力を120%引き出されたように見えました。

小牧 いいレースをしたときは、それほど印象に残らないんですよね。あのレースは馬場が渋っていて、みんなが脚をうまく使えないなか、そういう馬場を苦にしなかったのがよかったんじゃないかと思います。ダートも走る馬ですからね。

──グレードを問わず、2011年の会心の騎乗というと、どのレースになりますか? たくさんあるとは思いますが。

小牧 クラレントのデイリー杯やね。あれはわれながら、うまく行きすぎたというか、うまく乗れたなと思うね。しっかり追えたし、ロスのない競馬ができたなと思います。

──重賞以外で印象に残っているレースはありますか?

小牧 ん〜、そうやねぇ…、その場その場やからね(笑)。あ、たしかグリグリ1番人気やったと思うけど、ワールドワイドで内に閉じ込められて、最後まで追えなかったレースがあったな。これも競馬やな…と思いながら、印象には残るね。

──勝ったレースより、負けたレースのほうが印象に残りますか?

小牧 うん、負けたレースのほうが残るね。勝てると思って臨んだレースはとくにね。

──そういえば小牧さん、GIは残念な結果に終わりましたが、GIIに限ると、2011年は素晴らしい数字を残されてるんですよ。ご存じでしたか?

小牧 実感ないなぁ。GIIもGIIIも同じだと思ってるし。

──GIIには15回騎乗されて、連対率46.2%です。約2回に1回、2着以内にきていたことになります。

小牧 えっ? 僕? ああ、そう! まぁ、たまたまやね…(笑)。

【質問コーナー】
■ 『小牧さんは、スタートが決まると“よっしゃ!”って言うと聞いたんですが、本当ですか?』

小牧 言うね(笑)。「よしッ!」とかね。「ここはスタートを決めたいな」と思っているときに決まると、うれしくて、ついつい言ってしまいます…。隣のジョッキーには、思いっ切り聞こえてるやろうね。

■ 『若手騎手の活躍が目立ってきていますが、「この子は追えるな」など、注目しているジョッキーはいますか?』

小牧 「追えるな」と思うのは、川田将雅。僕、彼とは同期やねん(笑)。あとはあんまり…。パッと思い浮かばないな。

【次回の太論は?】
三冠馬の誕生という明るいニュースから、止まるところを知らない売り上げの低迷、相変わらずの裁決問題などなど、2011年の競馬界もいろいろありました。次回は競馬界全体の出来事について、小牧騎手に振り返っていただきます。
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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