22日に行われた名古屋大賞典は、予想通りといおうか、オッズどおりといおうか、中央勢4頭が上位を独占する結果。ちなみに単勝オッズは、1番人気のニホンピロアワーズが1.6倍、JRA勢でもっとも人気がなかったダイシンオレンジが4番人気で5.1倍。そして地方勢の中では人気となった(と言っていいのかどうか)カツヨトワイニングが5番人気で119.4倍というもの。中央勢と地方勢の間には、とてつもなく大きな溝が横たわっていた。
中央・地方の交流が一気に拡大された90年代後半は、ダート路線に出走してくる中央勢の層がそれほど厚いものではなく、どこの地方競馬でも地元馬が地の利を生かして勝ったり、勝てはせずとも馬券圏内に食い込むこともそれほどめずらしいことではなかった。
そうした初期のころ、ライブリマウント、ホクトベガと、ダートで立て続けに連戦連勝馬が出てきたのは、ダートの層がまだまだ薄いものだったからだろう。今ではスマートファルコンが連戦連勝だが、層の厚さもレベルも当時とは格段に違う。
今回の名古屋大賞典の極端なオッズは、中央のダート路線のレベルが底上げされたことの表れで、地方で行われるダートグレードではしばしばこうした状況が見られるようになった。20日の黒船賞でも、中央勢5頭が5着までを独占し、地方馬の単勝はすべて万馬券だった。
さすがにこれほど実力差がついてしまっては、いかに地の利があってもまぎれが起こることはほとんどない。単に中央馬のレベルがアップしたというだけでなく、中央の厩舎関係者が地方競馬の環境を熟知するようになったため、地の利のアドバンテージも以前ほど大きいものではなくなっているということもあるだろう。
こうした状況では馬券がつまらなくなる一方だ。今回の名古屋大賞典でも、専門紙では中央4頭に印がズラズラと並んでいるのみで、地方馬には△すらひとつもついていなかった。11頭立てではあるが、馬券は4頭でどういう組合せを買うかということにしかならない。結果、1番人気→4番人気の決着でも、馬連複は280円、馬連単は520円しかつかなかった。
このコラムでも何度か訴えてきたことだが、いい加減、中央馬の枠は少なくともフルゲートの半数程度にはすべきだろう。
この秋からは、JRAのPATなどでもダートグレードを中心に地方競馬の主要重賞に投票が可能となる予定だ。JRA側で馬券が売れるようになっても、今のままの出走枠では馬券の売上も期待できない。
JRAのシステムで地方の馬券を売り始めるというせっかくのタイミングだけに、出走枠についてもあらためて見直されることを望みたい。