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ヒミツヘイキ再び

  • 2003年02月17日(月) 14時25分
 11日船橋「報知グランプリカップ」は、期待の4歳馬2頭、息づまる一騎打ちだった。3コーナーから先頭に立ったヒミツヘイキ、これをマークして進んだエスプリシーズ。結局ヒミツヘイキが最後までしぶとく押し切り、重賞3勝目を飾っている。昨夏統一GユニコーンSの覇者、そして02年NAR最優秀3歳馬の面目躍如。前日の降雨で確かに軽い馬場だが、それでも1800m1分49秒7はきわめて速い。改めてそのスピード、自身の完全復活をアピールした一戦といえるだろう。個人的にはあらゆる角度で「エスプリ断然」と考えていたから、予想も馬券も完敗だった。

報知グランプリカップ(2月11日船橋、サラ4歳上ハンデ、1800m不良)

○(1)ヒミツヘイキ    (56・左海)  1分49秒7
◎(2)エスプリシーズ    (56・森下)  3/4
△(3)ナイキダンサー   (54・石崎隆) 6
△(4)コアレスフィールド (56・張田)  3
 (5)ゴールデンカバリエ (56・内田博) 首
…………………………………………………………………
▲(7)パワーズフォンテン (54・山中)
△(11)イエローパワー   (56・御神本)

単280円 馬複220円 馬単580円
3連複450円 3連単2060円

 逃げたイエローパワーは1000m通過60秒0。高速馬場だから当然のペースとしても緩くはない。ヒミツヘイキはその2番手を余裕十分に追走した。「状態が上がっていたから強気強気に乗れました」と左海騎手。レース運びは金星をあげたユニコーンSとよく似ている。厳しい流れを力まかせに抜け出し、後続を二の脚で振り切る時計勝負。昨秋ダービーグランプリ大敗、周辺のイヤなリズムを一挙に断ち切り、心身とも再び活力がみなぎってきた。不思議なものだ。結果論と断って書けば、パドックからここ数戦の妙なリキみがまったくみられず、ごくストレートな意味での好気合。何を転機に変わったかは正直外野の推察からは手に余る。それこそ馬に聞いてみたい。

 ともあれこの馬は、今後まだ不自由な部分を残している。右回りのコーナリングに難があり、帝王賞を頂点とする大井に照準が合わないこと。「人間だって嫌いなものはあるでしょう。だから馬本位に…」(岡林調教師)のコメントだから、依然そこは未解決ということだろう。ひとまず4月末からのJRA東京開催も視野に入れ戦略を練る方針と聞く。少し話は遠くなるが、秋の盛岡南部杯、04年府中フェブラリーSあたりが最終目標。3月23日地元「ダイオライト記念」は2400mの長丁場。血統はともかく、馬の個体、気性がそれに合っているとも思えない。

 エスプリシーズは4コーナー、ヒミツヘイキの直後1馬身、馬なりで射程圏に捕えながら手応えほど伸びなかった。いや伸びなかったというより今日は前が止まらなかった。「相手(ヒミツヘイキ)もやっぱり走る馬。でも良馬場なら交わせたと思う」と森下騎手。528キロの馬体はまさに威風堂々。道中の素早い反応、息の長い末脚…すべての面で本格化と断言できる。こちらは逆にパワー勝負が性に合う。大井金盃、あるいはダイオライトをステップに帝王賞が照準か。いずれにせよ個性の違う4歳馬2頭、ようやく南関東に統一Gにつながる“核”ができた。

京浜盃(2月20日大井、サラ3歳定量、1690m)

◎ナイキアディライト (55・石崎隆)
○カセギガシラ    (55・的場文)
▲ネイルアート    (53・御神本)
△ブラックドンカルロ (55・今野)
△シャコーオープン  (55・早田)
△ウィンシュール   (55・未定)
△ナイキゲルマン   (55・桑島)
 ベルモントソレイユ (55・未定)
 グリンゼファー   (55・内田博)

 2月20日大井「京浜盃」は JRAなら「弥生賞」に相当するクラシック直結レース。昭和53年創設第1回の勝ち馬ハツシバオーがいきなり三冠馬となり、以下、コーナンルビー、ホスピタリティ、サンオーイ、ロジータ、近くはキャニオンロマン、ジョージタイセイ、トーシンブリザード…名馬の名前にこと欠かない。外コース1700m(改修工事中・暫定1690m)で、それぞれの総合能力が問われること。冬場を順調に乗り切った馬が、少なくとも春前半までは圧倒的に有利なこと。今年は、牡馬牝馬通じナンバー1とされるパレガルニエが現在放牧中で、初戦を浦和桜花賞(4月初旬)に定めるようだが、いずれにせよ今回の勝ち馬はその強力なライバルになる。

 ナイキアディライトは前走ブルーバードC圧勝。デビューから3戦ダートではまだ負けを知らない(JRA芝挑戦6・8着)。筋肉質、カッチリ力強い馬体のディアブロ産駒で、見るからに砂の快速馬というイメージ。余裕残しで5馬身ちぎったブラックドンカルロ、グリンゼファーの比較からは、全国レベルでも同じ父エースインザレース(2歳優駿2着)のレベルにあるだろう。今回初コース、距離延長がテーマだが、テンのダッシュ、加速力が違うだけに少なくとも自分の競馬はできるはず。あとは道中折り合いをどうつけるか。未知数の部分が多いのはやはり確かだ。

 カセギガシラは前走ゴールデンステッキを勝って6戦4勝。キャリアを積みレース運びにも幅が出てきた。父スキャン、スピードに乗って重心の沈む走法が印象的。ホームコースの利、1690m経験の強みも若駒同士だけに大きいだろう。現時点ではナイキアディライトとほぼ互角の評価。石崎隆=的場文、今年も宿命の対決という予感も浮かぶ。

 ネイルアートは暮れの2歳優駿牝馬でパレガルニエの2着、続くゴールデンステッキも強烈な末脚で2着だった。細身で見栄えはしないが勝負根性に優れたカリスタグローリ産駒。完成度の高さで牡馬2頭に迫るだろう。以下、混戦向きのパワーでブラックドンカルロ、実績(2歳優駿4着後、南関東転入)でウィンシュールが続く。もう一頭、大井生え抜きの成長株といえばシャコーオープン。3戦2勝、とりわけ前走四角11番手からの差し切りは豪快だった。父ジェイドロバリー、兄にミヤシロブルボン。正直時計は足りないがスケールを感じる。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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