今回のテーマは、小牧騎手本人が選ぶベストレース、ワーストレース。4月21日から5月20日までの開催10日間を対象に、印象的なレースを振り返っていただきました。シビアな視点で自身の騎乗を語るいっぽうで、小牧騎手らしい“自画自賛”も!?
■俺もまだまだ若い、まだまだ追える!
──今回から、近1か月の結果を対象に、小牧さんご自身にベストレースとワーストレースを選んでいただきたいと思っています。その選んだ理由から、小牧さんの騎乗論が見えてくるのではないかと。さっそくですが、4月21日から5月20日までの結果を対象に、お話をうかがっていきたいと思います。
太が選ぶレースは…
小牧 ワーストレースはあれやね、都大路Sのゴールスキー(4番人気10着)。とにかく引っ掛かった。あそこまでは久しぶりやわ。馬自体、そういう心配がある馬なんやけど、久しぶりに死に物狂いで引っ張ったわ(笑)。
──やはり、そういった負け方は、ジョッキーとしてこたえますか?
小牧 うん、嫌ですよね。ゴールスキーもそうだけど、初めて乗る馬も多いんでね。そういう点では、“ああ、こういう馬やったんか…”って、あとで思う場合もありますけどね。ベストレースね、ありましたよ。え〜とね、あれ? 話そうと思ってさっきまで覚えてたんやけどな……、なんやったけ(笑)?
──では、ベストレースについては、のちほど伺いましょう(笑)。初めて騎乗された馬といえば、パールS(5月13日・京都9R・芝1800m)のスマートシルエット(1番人気3着)もそうでしたよね。レース後に、『もっと自分から動いて行けばよかった…』とおっしゃっていたので、悔しい思いが残った一戦だったのかなと。
小牧 あれは、一見キレイに乗っているようで、実はその馬の走りをわかってなかったんやね。まぁ、初めて乗ったっていうのもあるけどね。あの馬は、マイペースで行く馬なんですわ。切れない馬なので、もうちょっと自分でペースを上げて、自分でレースを作っていくような競馬をすれば、もっといいレースができたんでしょうけどね。
──周りの出方をうかがいながら、追い出した感じでしたよね。
小牧 追い出しを待ったわけじゃないんやけど、ペースに合わせてしまったね。やっぱり2番手に付けたら、ある程度は自分のペースで行けてるからね。それでぶっ放すわけにもいかないし。
ダイヤノゲンセキのメルボルンT
──勝ったレースで印象的だったのは、ダイヤノゲンセキで勝ったメルボルンT(4月21日・京都12R・ダ1800m)です。直線で狭いところを割って抜け出してくるシーンは、迫力がありました。
小牧 あ、ベストレースそれや(笑)。我ながら、よく追ったなと。狭いところをこじ開けてね。俺もまだまだ若いな、まだまだ追えるなと思いました(笑)。
──前走も小牧さんで3着と好走していましたが、直線で行き場がなくなってしまうシーンがあったんですよね。
小牧 そうそう。前走もいい勝負やったんだけど、直線で行くところがなくなってしまってね。メルボルンTの直線でも、最初は馬が怖がっていて、(馬と馬の間に)頭ひとつ分くらいしか入れなかったんやけど、それでも僕が押しつけて行ったら、割って入ってくれたんでね。あの勝利はうれしかったですね。
──今回は、ずっと騎乗されてきた馬での念願の初勝利が多かったように思います。
小牧 ああ、キタサンエピソードやナムラアピア、マキハタテノールなんかね。シルポートもそうだし、あとレッドデセーオもそうだけど、改めて思い出すと逃げてばっかりやね(笑)。まぁ、馬場もあって、全体的に逃げ切りが多いですけどね。
──たしかにそうですね。ちなみに今回の期間では、9勝中6勝が逃げ切りでした。
小牧 でも、先々週(5月12日・13日)やったかな。その週は、出遅ればっかりでしたね。人気してる馬にたくさん乗ってたんやけど、3頭くらい出遅れたんちゃうかな。お客さんは“なんや小牧、また出遅れて”って思ってたかもしれんね。ただ、その週はホンマにゲートが難しい馬ばっかりで。人気自体はそれほど気にしてないんやけど、自信がある馬で出遅れると、やっぱりガックリきますわ。馬に『頼むからおとなしく出てよ』って、頼みたいくらいやわ(笑)。
【次回の太論は?】
いよいよ夏競馬のシーズンが到来。小牧騎手は中京から、例年通り小倉に参戦するそうです。そこで次回は、高松宮記念で参戦した新中京コースの印象から、小倉競馬の思い出まで、小牧流・夏競馬の楽しみ方をうかがいます!