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サンデー系と相性が良い、母の父ホワイトマズル

  • 2012年08月17日(金) 12時00分
 昨日、東京ダービー以来2か月ぶりに大井競馬へ行った。あのときは会社帰りのサラリーマンが多かったが、昨日はお盆休みということもあって、家族連れやアベックが目立ち、肌をあらわにした女性、浴衣の女性も数多く見られた。

 喫煙所でとなりの馬券オヤジが、その雰囲気にのまれたらしく、「今日はいつもと客層が違う。馬券が調子悪くてしょうがねぇ」とぼやいていた。

 ナイター競馬とはいえ、前半のレースはまだ暑い陽射しが残っている。スタートが切られたというのに枠内で微動だにせず、とうとう発走しなかった馬。スタート前に騎手を振り落とし、放馬してさんざん発走時間を遅らせ、挙げ句に除外となった馬など、アクシデント続きだった。馬もこの暑さで平常心を失っている。

 メインの黒潮盃は3歳の別定戦。東京プリンセスC、関東オークスを連勝中のアスカリーブルは、牡馬よりも1キロ重い57キロの斤量を背負わされた。しかし直線、鋭い末脚を繰り出して抜け出し、完勝で並み居る牡馬を封じ込んだ。

 母の父ホワイトマズルはサンデー系と相性が良く、母系に入るとスタミナ、パワー、成長力を補強する。父ブラックタキシードの代表産駒には、チャンストウライ(佐賀記念)がいるが、それ以上の出世が期待できそうだ。

 10番人気で2着に入ったディーオは、逃げて自分の流れをつくり、しぶとく粘り込んだ。アスカリーブルには完敗だったが、ゴール前、エスワンプリンスを差し返して2着を死守したあたりに、成長がうかがえる。

 極端に馬をこわがり、先行しないと持ち味が生きないが、母の父サドラーズウェルズ、祖母の父にシャーリーハイツともに、欧州の一級の名ステイヤーだ。父のプリサイスエンドは早熟の短距離血統のイメージが強いが、この母系ならもう少し距離が延びてもよさそうだ。単騎マイペースの逃げに持ち込めば、再びあっと言わせるシーンがあるかもしれない。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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