ステイゴールドの種付料が来春から800万円に上がるという。不況に苦しむ日高の中小の牧場にとって、ステイゴールドは救いの神だった。しかし、もう彼らの手の届かないところにいる。
2002年、種牡馬入り初年度の種付料は、受胎確認後の支払で150万円、産駒誕生後の支払で200万円というものだった。実際には、もっと安い値段で種付けすることも可能だったと言われる。
その証拠に、177頭の配合牝馬を集めたものの、質はかなり程度の低いものだった。翌年生まれた産駒も買い叩かれ、200万円、300万円がざら。おかげで種牡馬入り3年目になると、配合牝馬が87頭に半減している。
だが、翌年生まれたマイネレーツェルは、青森の八戸市場でわずか210万円の安値ながら、GIIを2勝(フィリーズレビュー、ローズS)し、エリザベス女王杯でも4着となる出世を遂げた。
配合牝馬の質の面でハンデを抱えながら、続々と重賞勝ち馬を送り出すステイゴールドに、底知れぬ不気味さを感じたものだ。後のナカヤマフェスタ、今日のオルフェーヴル、ゴールドシップ、フェノーメノらの活躍を、十分に予感させるものだった。
とはいえ、8歳で種牡馬入りしたから、来春は19歳だ。今後は年齢との戦いになるだろう。父のサンデーは16歳で死亡。初年度産駒のフジキセキは、19歳の昨年から種付をやめている。
しかし、かつてシーホークが22歳時の種付けでウィナーズサークル(ダービー)を、23歳時の種付けでアイネスフウジン(ダービー)を出した。大物ステイヤーを出す種牡馬は、種付寿命も総じて長い。
それより何よりステイゴールドは意外性、常識破りの塊だ。この分野においても、新たな記録を打ち立てるかもしれない。そこに期待することにしよう。