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トウカイトリック、ディープ世代の頑張り

  • 2012年12月07日(金) 12時00分
 10歳馬のトウカイトリックがステイヤーズSを勝利して、アサカディフィートと並ぶJRA最高齢重賞勝ち馬となった。ただしアサカディフィートの記録は、2008年2月9日の小倉大賞典を勝ったもの。厳密には10か月も更新している。

 年齢は同じでも、アサカディフィートの場合は10歳になったばかり。対するトウカイトリックはあと1か月で11歳になる年齢で、人間なら四十路の坂を越えて半ばといったところ。障害の重賞ならいざ知らず、平地の重賞で勝ったのだからおそれいる。

 トウカイトリックは2002年の生まれで、ディープインパクトと同世代だ。ディープインパクトはとっくに種牡馬入りし、競馬場に3世代を送り出している。何の因果か、ステイヤーズSで2着に退けた馬は、ディープインパクト産駒のファタモルガーナだった。

 父のエルコンドルパサーは2002年7月、7歳の若さで急死。競馬場に送り出したのは、わずかに3世代だった。トウカイトリックは2世代目で、エルコンドルパサーが急死した年に生まれている。あれから10年。偉大な父の名を忘れさせない点でも立派だ。

 この原稿を書いているとき、オルフェーヴルの有馬記念回避の知らせが入った。残念だが、来年も現役続行とあれば仕方がない。凱旋門賞リベンジのために英気を養ってもらおう。

 ルーラーシップは有馬記念が引退レースとなった。父がキングカメハメハ、母の父がトニービンで、サンデーの血が入っていない。しかも、母系は日本屈指の名牝系だ。非サンデー系の旗手として、この馬には明るい未来が待っている。

 国内のGIを勝っていないから、有馬記念はぜひとも勝ちたいところだろう。ジャパンCの1〜3着馬は同じ勝負服。生産牧場もノーザンファームと追分ファームで、ともに社台グループ。この馬に有馬記念を勝たせるために、オルフェーヴルを回避させたとも考えられるが、そんな深読みはやめておこう。

 第一、今年の有馬記念は二冠馬ゴールドシップらも参戦し、すんなり収まりそうにもない。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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