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キングカメハメハの体調不良で変わる今シーズンの種付け事情

  • 2013年05月17日(金) 12時00分
 キングカメハメハが今シーズンは体調を崩し、種付けを中止したままだという。体重が100キロも減っているとか、いろんな噂が聞こえてくる。先日も、北海道在住の知人ライターからこんな話を聞いた。

「社台グループでは、キングカメハメハを予定していたサンデー系牝馬が、ローエングリンやジャングルポケットに矛先を変えています。ローエングリンは皐月賞を勝ったロゴタイプ効果ですが、人気を落としていたジャングルポケットにまで特需が起きている」

 サンデーの血を受けた日本を代表する最高繁殖牝馬群が、今、受難の時を迎えている。昨夏デビューしたチチカステナンゴは、非サンデー系種牡馬のホープとして期待されていたが、これが大不振。おかげでサンデー系の最高繁殖牝馬群がかなり犠牲となった。

 キングカメハメハ、シンボリクリスエスらに向かっていたサンデー系の最高繁殖牝馬群が、チチカステナンゴに向かったのが現3歳世代だ。現2歳世代も同様に一級牝馬が付いている。だが、初年度産駒の走りを見る限り、2年目の大変身を望むのは難しい。

 そこで今春は、キングカメハメハに向かおうとしていたのだが、種付けが中止となって目算が外れた。ハービンジャー、ワークフォースらに振り向けようにも先約があるから、余勢の種付頭数は限られる。このためローエングリン、ジャングルポケットに特需が起きたのだ。

 一方、サンデー系の種牡馬はディープインパクト、ダイワメジャーらに一級繁殖牝馬群が向かい、他はそのワリを食った。確かにこの2頭は成功したが、活躍馬は一握りであることも事実で、総体的にはレベルダウンを招いている。

 その隙をつくかたちで浮上したのが、スズカフェニックス、ブラックタイド、ロサードらあり、非サンデー系ではローエングリン、クロフネらだ。しかし、それらの多くはクラシックの底力という点では頼りない。

 結果としてディープインパクト産駒が浮上することになる。この状況が続くなら、流れはますますディープインパクトに有利になっていくだろう。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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