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「血統の神」の意地悪で迷うダービーの軸馬

  • 2013年05月24日(金) 12時00分
 みんなが特定の種牡馬に目が行き始めたときは、血統の神は昔からよく意地悪をする。先週のオークスはまさにそのとおりの結果に終わった。

 クロフネサプライズがレースを引っぱり、本来のオークスらしいタフな競馬。長距離でもスローで流れれば、ディープインパクト産駒の瞬発力が生きるが、このペースだとスタミナと持久力の差が出てくる。

 桜花賞1、2着のアユサン、レッドオーヴァルはいかにもマイラーらしい負け方だったし、メイショウマンボはいかにもステイヤーらしい勝ち方だった。

 父のスズカマンボはダンスインザダーク(菊花賞)の近親。自身も4歳時に春の天皇賞でハーツクライ、ヒシミラクルらの強豪を破り、初GI制覇を果たしている。

 しかし、仕上がりは早く2歳の8月にデビュー。2戦目で勝ち上がり、オープン特別の萩S(京都芝1800m)で2歳レコードを樹立する快速ぶりを見せていた。産駒も多くがこの仕上がり早の資質を受けている。ただ、スズカマンボのGI勝ちは天皇賞・春のみ。一発屋だったため配合牝馬に恵まれていない。

 ステイゴールドに始まり、スズカフェニックス、スズカマンボ…と、このところディープインパクト産駒のGI勝ちを、同じサンデーのマイナー種牡馬が邪魔するシーンが目立つ。今週のダービーは果たしてどんな結果に終わるだろう。

 皐月賞の1〜3着馬は、非サンデー系の父を持つロゴタイプ、コディーノ、エピファネイア。対するサンデー系の伏兵馬も多士済々。これにディープインパクト産駒のキズナ、ヒラボクディープがどう挑むか。

 馬券の軸を、ロゴタイプにするかキズナにするかで迷っている。今年の牡馬クラシック戦線はディープインパクト産駒を追いかけてきたが、皐月賞のロゴタイプは強かったと素直に認める。

 距離も心配していない。父のローエングリンは確かに短中距離タイプだったが、血統構成は父母系ともに欧州のステイヤー血脈の凝縮だ。ステイヤー種牡馬として成功したサッカーボーイも、競走時代はマイラーだった。これに似たタイプかもしれない。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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