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成功が約束されたマツリダゴッホのセールスポイント

  • 2013年07月05日(金) 12時00分
 サンデーサイレンスの遺伝力の確かさは、周知のとおり。後継種牡馬の相次ぐ成功は、クラシック馬のみならず、一発屋のGI馬、無冠に終わった馬、さらには下級馬や不出走馬にまで及んでいる。

 その成功規模があまりに大きいため、同じサンデー系同士が重賞レースを奪い合う“血の共食い”まで起きているのが現状だ。今春のGI戦線でも、ディープインパクトが猛威をふるう間隙を縫って、スズカマンボ産駒がオークスを勝ち、スズカフェニックス産駒がNHKマイルCを勝った。ディープインパクトにしても、産駒同士が激しく重賞勝ちを奪い合っている。

 新種牡馬紹介の第4回目となるマツリダゴッホは、そのサンデーサイレンスのラストクロップ(最後の世代)だ。中山コースに強く、2007年の有馬記念でダイワスカーレット、ダイワメジャーらを退けて、悲願のGIを手にしたシーンは記憶にまだ新しい。

 GI勝ちはこの有馬記念のみだが、サンデーサイレンス産駒だから、種牡馬としての可能性を満たすにはこれだけで十分だ。母系の血統背景も、水準級以上の成功をほのめかしている。

 母ペイパーレインの弟ナリタトップロードは菊花賞馬で、古馬になっても息長くGI戦線で活躍した。種牡馬となっても、初年度産駒からベッラレイア(フローラS、オークス2着)を出す成功を見せた。早死にしなければ、非サンデー系の旗手として頑張っていることだろう。

 サンデーサイレンスの遺伝力と、近親に成功種牡馬のナリタトップロードがいる点。マツリダゴッホの成功は、この二つでほぼ約束されたようなものだ。確かに6月8日、始まったばかりの東京2歳新馬戦で、マイネルギャルソンが勝利を収め、新種牡馬のJRA勝利第1号となった。

 社台グループの繋養でないため、配合牝馬の質の面でハンデを抱える点は否めない。それでもクラシック戦線に乗る産駒が、何頭か潜んでいると思われる。その資質を伸ばすためにも、2歳戦やトライアル戦線の無理使いだけは避けたい。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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