新種牡馬32頭の中にサンデーサイレンス産駒が11頭いる。このうちGI勝ち馬はマツリダゴッホだけだが、サンデーサイレンスの遺伝力の確かさは周知のとおり。後継種牡馬の相次ぐ成功は、GIを勝てなかった馬のみならず、中下級、不出走に終わった馬にまで及んでいる。
不出走馬のエイシンサンディが、初期にそれをいち早く実証。近年では、ゴールドヘイローが新たに頭角を現している。現JRA重賞3勝のトウケイヘイローを出しているが、自身は南関東で走り、公営重賞の3着すらなかった馬だ。
こんな調子だから、GI勝ちのないスウィフトカレントでも、十分に成功の可能性を秘めているだろう。小倉記念を勝って初代サマーチャンピオンとなり、その秋の天皇賞でダイワメジャーの2着に入った馬だ。半弟にヴィクトワールピサ(ドバイワールドC、皐月賞)、半兄にアサクサデンエン(安田記念)がいて、血統背景も申し分ない。
ヴィクトワールピサがネオユニヴァース産駒であるのに対し、こちらはサンデーサイレンスの直仔。配合牝馬の質、数で大きなハンデを抱えるが、血の魅力という点ではヴィクトワールピサよりも上だ。
非サンデーサイレンス系では、スクリーンヒーロー、エイシンデピュティ、ヴィクトリーが、まずまずの配合牝馬を集めている。
ヴィクトリーは皐月賞馬だが、以後の競走成績が芳しくなく、すっかり株を落としてしまった。しかし母系は欧州の超名牝系。近親に成功種牡馬のフサイチコンコルド(ダービー)がいるのも心強い。
ブライアンズタイムの後継種牡馬も、マヤノトップガン、タニノギムレット、タイムパラドックスらが成功している。サンデーサイレンス系のような派手さはないが、水準級以上の遺伝力が期待できるのは確かだ。
それより何より、良血のサンデーサイレンス系牝馬に配合される利点が、ヴィクトリーにはある。産駒の血統登録数は23頭と少ないが、この中に見直しの機運を生む素質馬が潜んでいることを期待しよう。