スマートフォン版へ

天才ジョッキーの栄光(スペシャルウィーク)

  • 2013年09月02日(月) 15時00分
スペシャルウィーク

スペシャルウィーク


◆ダービー制覇へ約束のシナリオ
 プロ野球のドラフトに当たり年があるように、競馬の世界にも、同じ世代から名馬が一時にまとめて誕生することがある。

 1995年生まれのスペシャルウィーク、エルコンドルパサー、グラスワンダー、セイウンスカイが、まさにそれ。競馬史に名を残す優駿が、これほど出た世代も珍しい。

 もっとも、1998年のクラシックで戦ったのは、スペシャルウィークとセイウンスカイだけ。この時代は日本産馬にしかクラシックの出走権がなく、米国産馬のエルコンドルパサーとグラスワンダーは、別路線を歩むしかなかった。

 しかし、それがかえって個々の強さを神秘のベールに包み、よりファンの興味を惹きつけたと言える。「どの馬が最も強いか」「長距離ならこの馬」「中距離ならあの馬」。架空レースを酒の肴に、呑み屋で盛り上がったものだ。

 スペシャルウィークは生まれて5日後に母が死亡している。農耕馬の乳母に育てられたが、2歳11月のデビュー戦を楽勝。明けて3歳1月の条件戦を惜敗したものの、格上挑戦となったきさらぎ賞を勝利。続く皐月賞トライアルの弥生賞も、2連勝中のセイウンスカイ、超良血のキングヘイローを退けて重賞2連勝を飾った。

 そして迎えた皐月賞。向かうところ敵なしのスペシャルウィークは、不利な大外18番枠にもかかわらず、単勝1.8倍の1番人気となった。だが、当日は柵が移動され、内は新品同様のグリーンベルト。この状態のいい内の馬場を走るのと、外のデコボコ馬場を走るのとでは大違い。

 それでも力強く追い込んだが、あと一歩届かず、セイウンスカイ、キングヘイローの3着に敗れた。しかし、これは次の日本ダービーを勝つための、「約束のシナリオ」みたいなものだったと言えるかもしれない。

 弥生賞の勝ち馬が、続く皐月賞で期待を裏切り、日本ダービーで雪辱を果たす。この時代はそんなシナリオが多かった。1993年の日本ダービーを勝ったウイニングチケット(弥生賞を勝ち、皐月賞4着)が、その好例である。

 確かに、日本ダービーに出走したスペシャルウィークは、デビューからずっと乗り続けてきた武豊を背に、怒涛の追込みを決めて2着に5馬身の圧勝でゴールを駆け抜けた。天才と謳われ、数々の大レースを手にしてきた武豊。だが、日本ダービー制覇はこれが初めてであった。

この勝利がダービー初勝利だった武豊

この勝利がダービー初勝利だった武豊


 この勝利が引き金となり、以後、サンデーサイレンスと武豊のコンビによる、日本ダービー快進撃が始まることとなる。

 スペシャルウィークが他の3頭と違っていたのは、母系に明治から続く古い在来血統を従えていたことだった。日本産馬のレベルが低い元凶とされ、切り捨てが進行していた在来血統。だが、スペシャルウィークの走りは古さなど微塵も感じさせないものだった。(吉沢譲治)

◆レース詳細
1998年06月07日
第65回 東京優駿(GI) 東京/芝左2400m/天候:曇/芝:稍重

1着 スペシャルウィーク 牡4 57  武豊   2:25.8
2着 ボールドエンペラー 牡4 57  河内洋  5
3着 ダイワスペリアー  牡4 57  菊沢隆徳 1/2
4着 セイウンスカイ   牡4 57  横山典弘 ハナ
14着 キングヘイロー   牡4 57  福永祐一

※年齢は当時の旧年齢表記

◆競走馬のプロフィール
スペシャルウィーク(牡4)
父:サンデーサイレンス
母:キャンペンガール
騎 手:武 豊
調教師:白井 寿昭 (栗東)
馬 主:臼田 浩義氏
生産牧場:日高大洋牧場

パズダビ近日リリース!

パズルダービーリリース!

パズルダービー9月28日リリース!
 爽快!競馬パズルゲーム「パズルダービー」を9月28日(土)にリリースいたしました!

「パズルダービー」はマッチ3形式(同じ色を3つ揃えるブロック消し)のパズルと競馬が融合し、伝説の名馬のシナリオに挑戦する競馬パズルゲームです。レースでは、ディープインパクトやオルフェーヴルなど名馬のシナリオを完全再現。競馬ファンなら感動再び、競馬を知らない方はパズルを楽しみながら、競馬の魅力を知っていただけます。

 登場する名馬は700頭以上。また、週末に開催される中央競馬とのリアル連動イベントや各種キャンペーンも満載です。この機会に是非お楽しみください!

「嗚呼、愛しき名馬たち〜netkeiba 名馬列伝〜」では、記録と記憶に残る伝説の名馬の足跡をプレイバック。名馬たちが繰り広げた伝説の数々が蘇ります!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング