スマートフォン版へ

意外と保守的なオールカマー

  • 2013年09月17日(火) 12時00分
 オールカマーがなぜオールカマーというレース名なのか、ということを知っている若いファンはどれだけいるのだろうか? そういう時代になった。

 その名の通り、アラブでも条件馬でもなんでも来いというハンデ戦としてスタートしたオールカマー。しかしグレード制導入の前から別定戦となり、やがてG2になって往年の面影は全くない。

 しかも、オールカマーはその名に反して、出走馬に一定のクオリティを要求するレースでもある。

 グレード制導入後、2頭のカク地優勝馬を除く中央在籍優勝馬のうち、前走で重賞レース以外を走っていた馬は何頭いるか御存知だろうか?

 正解はたった1頭。昭和60年のアサカサイレントが前走で900万条件の特別を走っていたのが唯一の例である。

 これが過去10年となるとさらに厳しい。前走条件戦組は(0.0.0.8)、オープン特別組は(0.1.1.18)と出走数も少ないが、G3組も(1.4.4.41)と出走数(49頭、ちなみにG2組は26頭、G1組は17頭)が多いわりに優勝馬は04年のトーセンダンディーしか出ていない。同馬は前走が新潟記念3着だった。

 G1・G2組にしてもどんな馬でもいいというわけではなく、前走G1・G2の10着以下だった馬は(0.1.0.10)で、11年2着のゲシュタルト以外は全滅となっている。

 実はこの原稿は通常の週と異なり、台風順延の影響で特別登録が出る前に書いている。そのためそれぞれの条件に合致する馬がどれだけ登録してくるかは分からない。ただいずれにせよ、創設時の奔放なイメージではなく、むしろ保守的というか、格重視・実績重視の予想をしたほうが正解に繋がりやすいのではと思っている。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング