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今週の凱旋門賞が日本市場に持つ意味

  • 2013年10月04日(金) 12時00分
 ロードカナロアは12月の香港スプリントを使って引退し、来春から種牡馬入りと報道されている。どうやら先週のスプリンターズSが、国内での見納めらしい。

 キングカメハメハ産駒のGI勝ち馬では、今春、ルーラーシップが一足先に種牡馬入りをした。2頭はサンデーサイレンスの血を持たない代表産駒で共通する。

 サンデーサイレンスの血を受けた繁殖牝馬は増加の一途。早くも母の父がスペシャルウィーク、アグネスタキオンといった後継種牡馬の時代を迎えて、その増加のスピードに拍車がかかっている。

 非サンデーサイレンス系の成功種牡馬には、キングカメハメハ、シンボリクリスエス、ジャングルポケット、クロフネらがいる。しかし、それらはサンデーサイレンス系牝馬との配合で実績を上げているのが実情。ロードカナロアのようなタイプは珍しい。

 サンデーサイレンスの血を持たない種牡馬の発掘が急務だから、成功すればたちまちのうちに「金の卵」「打ち出の小槌」へと変身するだろう。マイルチャンピオンシップ、天皇賞・秋にも挑戦してほしいが、こればかりは仕方がない。

 対するサンデーサイレンス系の種牡馬は、次々と成功するものだからダブつきが生じ、高い種付料を取れなくなっている。むろん、ディープインパクトなど何頭かを除けば、産駒の値段も高くはならない。

 本来なら高級ベンツのはずなのに、狭い日本の市場内で大量生産されるものだから、希少価値が薄れて大衆車なみの価格で売買されている。もったいない話だ。中古車市場になると、もっとひどい。

 サンデーサイレンスの血の優秀性をもっと世界にアピールし、欧米や中東の大ホースマンを、日本の市場に向かわせる努力が必要なのだ。それが現実化すれば、中古車市場だって活況を取り戻す。

 そのためにも、今週の凱旋門賞は重要な意味合いを持っている。オルフェーヴル、キズナが、日本の将来を大きく変える結果を残すことを祈っている。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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