スマートフォン版へ

地方から全国制覇へ(オグリキャップ)

  • 2013年10月21日(月) 12時00分
オグリキャップ



◆史上空前の競馬ブームの立役者

 1980年代後半の日本は、ちょうどバブル景気の絶頂期にあった。一方、サラブレッドの血統は猛威をふるったノーザンダンサー系が衰退。にわかに下剋上と化し、多種多様な血統が咲き誇っていた。

 それらは谷間に咲く地味な花たちではあったが、どの血統にも、どの牧場にも、どの騎手にも、どの調教師にもチャンスがあり、夢があった。血統も人もみな個性豊かで、そこに人知を超えた波瀾万丈のシナリオがあり、ファンを魅了する演出があった。

 オグリキャップも血統がマイナーなら、生まれも育ちもマイナー。そんな底辺から身を起こした地方競馬出身の馬が、中央競馬のエリートたちを次々と打ち負かし、頂点をめざしてひた走る。

 それは、学歴もなくコネもない地方の若者が、都会のエリートを相手に立身出世していくのによく似ていた。そこに多くの人が共感し、オグリキャップを国民的ヒーローへと押し上げたのだった。

 馬主がクラシックの登録料をケチったため、4歳牡馬の勲章となる皐月賞、日本ダービー、菊花賞に出走することができなかった。おまけに取り巻く人間は、脱税などトラブル続き。過酷なローテーションで走らされ、稼ぐことをしいられた。

 それでも懸命に走り、一敗地にまみれながらも、挫折を繰り返しながらも、最後は感動のフィナーレで締めくくったオグリキャップ。まさに競馬界の『おしん』『半沢直樹』だった。だからこそ競馬を飛び超えて一般大衆に受け入れられ、若い女性までも競馬場に呼び込んだのだった。

 1987年5月、岐阜の笠松競馬場でデビューしたオグリキャップは、12戦10勝の戦績を残して中央競馬へ移籍。1988年3月、初戦のペガサスS(GIII・阪神芝1600m)を皮切りに、重賞6連勝の快進撃を続ける。

 中央のエリートたちは表街道のクラシックを見据えて走っており、オグリキャップのそれは裏街道で記録したものだった。しかし、そのうちの2つはレコード勝ち。非凡な能力の持ち主であることは明らかで、続くGI初挑戦となった天皇賞・秋では堂々の1番人気に支持された。

 だが、タマモクロスの2着に敗れ、連勝記録はストップしてしまう。とはいえ、勝ったタマモクロスは同年の年度代表馬。続くジャパンCでも海外の強豪を相手に3着に好走したことで、オグリキャップの評価はさらに上昇していく。

 そして迎えたのが、1年の総決算として有名な伝統のGIレース、有馬記念だった。天皇賞・秋を勝ったタマモクロスが1番人気、敗れたオグリキャップは2番人気に甘んじていた。だが、ここでみごとリベンジを果たし、ついに頂点に立った。

 正義は最後に必ず勝つ。そのシナリオを地で演じたオグリキャップは、またたく間に人気に火がついた。これを境に国民的ヒーローへの階段を一気に駆け上がり、史上空前の競馬ブームを巻き起こしていくのである。(吉沢譲治)


◆レース詳細
1988年12月25日
第33回 有馬記念(GI) 中山/芝右 2500m/天候:晴/芝:良

1着 オグリキャップ    牡4 55  岡部幸雄 2:33.9
2着 タマモクロス     牡5 57  南井克巳 1/2
3着 サッカーボーイ    牡4 55  河内 洋 1/2+1.1/2
※3位入線スーパークリークは失格

◆競走馬のプロフィール
オグリキャップ(牡4)
父:ダンシングキャップ
母:ホワイトナルビー
騎 手:岡部 幸雄
調教師:瀬戸口 勉(栗東)
馬 主:佐橋五十雄(1988年有馬記念当時)
生産牧場:稲葉不奈男
※年齢は当時の旧年齢表記

iOSランキング1位獲得!

iOSランキング1位獲得!名馬に挑め!

iOSランキング1位獲得!名馬に挑め!
 爽快!競馬パズルゲーム「パズルダービー」、iOSランキング1位獲得!!

「パズルダービー」はマッチ3形式(同じ色を3つ揃えるブロック消し)のパズルと競馬が融合し、伝説の名馬のシナリオに挑戦する競馬パズルゲームです。レースでは、ディープインパクトやオルフェーヴルなど名馬のシナリオを完全再現。競馬ファンなら感動再び、競馬を知らない方はパズルを楽しみながら、競馬の魅力を知っていただけます。

 登場する名馬は700頭以上。また、週末に開催される中央競馬とのリアル連動イベントや各種キャンペーンも満載です。この機会に是非お楽しみください!

「嗚呼、愛しき名馬たち〜netkeiba 名馬列伝〜」では、記録と記憶に残る伝説の名馬の足跡をプレイバック。名馬たちが繰り広げた伝説の数々が蘇ります!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング