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結果次第で次走はJCという欧州調教馬が出走するメルボルンC

  • 2013年10月30日(水) 12時00分
 今週末には北米でブリーダーズC、来週火曜日には豪州でメルボルンCと、海外競馬はビッグイベントが目白押しである。

 ブリーダーズCも言うまでも無く見逃せないイベントだが、今週のこのコラムでは、メルボルンCの話題を取り上げたい。なぜなら昨年同様、結果とその後の馬の状態次第で次走はジャパンCという欧州調教馬が、メルボルンCに複数出走を予定しているからだ。

 29日の段階で、地元のブックメーカー各社が5.5倍から8倍のオッズを掲げて1番人気に推しているのがフィオレンテ(牡5、父モンスン)だ。

 愛国産馬で、昨年9月まで英国に在籍し、ニューマーケットのG2プリンセスオヴウェールズS(芝12F)を制した実績を持つ同馬。豪州移籍初戦となった昨年のこのレースで2着に好走。今シーズン2戦目のG2ジョンFフィーハンS(芝1600m)で豪州重賞初制覇を果すと、続くG1ターンブルS(芝2000m)3着、前走G1コックスプレート(芝2040m)4着と安定した成績を収めている。

 各社9〜10倍のオッズで2番手評価としているのが、英国調教馬のマウントアトス(セン6、父モンジュー)だ。

 昨年8月にG3ジェフリーフリアS(芝13F61y)を制して重賞初制覇を果した同馬。その後、昨年のこのレースで5着と健闘した後、ジャパンCに参戦して12着だった。6歳を迎えた今季、初戦となったG3オーモンドS(芝13F89y)で2度目の重賞制覇。続くG2ハードウィックS(芝12F)は5着、G2グッドウッドC(芝16F)は8着に敗れたが、前走グッドウッドのLRマーチS(芝14F)では2着に好走し、豪州へ赴いている。前述したように、昨年はメルボルンCからジャパンCへというルートを辿った同馬だが、残念ながら今年は予備登録を行なっていない。

 一方、各社11〜12.5倍のオッズで3番手評価としているダンディーノ(牡6、父ダンシリ)は、JCに登録している英国調教馬だ。

 3年前の3歳時に来日し、ジャパンCで8着になっている同馬。4歳春にニューマーケットのG2ジョッキークラブS(芝12F)で重賞初制覇。5歳秋にケンプトンのG3セプテンバーS(AW12F)で2度目の重賞制覇を果した後、北米に遠征してG1カナディアン国際(芝12F)2着と、徐々にではあるが実績を積み重ねてきている。6歳を迎えた今季、初戦となったG2ジョッキークラブS(芝12F)2着、ロイヤルアスコットのG2ハードイウィックS(芝12F)2着の後、北米に遠征してアーリントンのアメリカンセントレジャー(芝14F)に優勝。その後、早めに渡豪して前走G1コーフィールドC(芝2400m)2着と、かつてないほど充実したシーズンを過ごしている。陣営はこの後の日本転戦に前向きと言われているだけに、まずはメルボルンCで良い競馬をし、なおかつ、レース後に余力を残していることを切に祈りたいと思う。

 この他では、英国調教馬のブラウンパンサー(牡5、父シロッコ)とレッドカドー(セン7、父カドージェネロー)、愛国調教馬のシメノン(セン6、父マージュ)、仏国調教馬のデュナデン(牡7、父ニコバー)らが、豪州経由日本行きのルートを模索している馬たちだ。

 中でも、JC参戦に対し積極的と言われているのが、豪州のオッズで22倍から27倍、英国のオッズだと13倍から26倍という評価のシメノンだ。

 2歳時から重賞に参戦して入着を果すなど、早くから素質を高く評価されていたものの、なかなか重賞制覇には結びつかず、4歳後半から5歳春にかけてハードルに転身した経歴を持つ同馬。昨年秋、G1愛セントレジャー(芝14F)で5着という、それまでで最良のパフォーマンスを見せた後、5歳秋から6歳春にかけて再びハードルに転身。ようやく本格化なったのが今季で、ロイヤルアスコットのG1ゴールドC(芝20F)で2着に好走。続くヨークのG2ロンズデイルC(芝16F88y)でも2着になった後、早めに渡豪して前走コーフィールドのG2ハーバートパワーS(芝2400m)で3着となっている。

 同様に、管理するE・ダンロップ師がJC参戦に前向きな姿勢を示しているのが、豪州のオッズで51〜56倍、英国のオッズで21〜34倍という評価のレッドカドーである。

 既に2度来日を果し、今年のG1天皇賞・春(芝3200m)では3着に好走し、日本のファンにも既にお馴染みの同馬。天皇賞後はシンガポール経由で英国に帰国し、ロイヤルアスコットのG1プリンスオヴウェールズS(芝10F)9着、G1キングジョージ(芝12F)6着と、強敵相手に苦戦が続いたが、続くニューバリーのG3ジェフリーフリアS(芝13F61y)では2着に好走。その後、カラのG1愛セントレジャー(芝14F)で4着となって渡豪している。

 豪州のオッズで24〜37倍、英国のオッズで13〜26倍のブラウンパンサーは、2年前のG1セントレジャー(芝14F132y)の2着馬だ。今年8月、G2グッドウッドC(芝16F)で待望の重賞初制覇をゲット。前走グッドウッドのLRファウンデーションS(芝9F192y)は、明らかに距離不足で5着に敗れている。馬主はサッカー界のスーパースター、マイケル・オーウェンだけに、ぜひとも馬主ともどもの来日が実現して欲しいものである。

 豪州のオッズで42〜56倍、英国のオッズで26〜34倍のデュナデンは、仏国調教馬ながら、2年前のメルボルンCを含めて欧州以外で3つのG1を制している「外弁慶」だ。今季初戦のG1シーマクラシック(芝2400m)4着、続くG1ガネイ賞(芝2100m)3着、G1コロネーションC(芝12F10y)2着、G1サンクルー大賞芝2400m)2着と、超一線級相手に好走を続けていたが、前走G2フォワ賞(芝2400m)は8着と、今季初めて大きな敗戦を喫している。馬主は親日家のシェイク・ファハドだけに、この馬にもぜひ来日して欲しいものだ。

 日本のファンにとっても注目のメルボルンC。ちなみに今年のメルボルンCカーニヴァルには「オフィシャル・スタイル・ゲスト」として、「踊る妖精」と呼ばれるスーパーモデルのココ・ロシャが招聘されており、当日競馬場で行われるファッションショーの審査員などを務める予定となっている。ヴォーグ誌から21世紀のトップモデル30人に選定されているココだけに、その姿を見るだけでも男性ファンにとっては目の保養になりそうだ。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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