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稲妻スプリンター(サクラバクシンオー)

  • 2013年11月04日(月) 12時00分
サクラバクシンオー

サクラバクシンオー


◆快速を飛ばして頂点を極めた勇姿はまさに“驀進王”
 人の世と同じで競走馬の世界にも、名前負けをした馬がいる。歴史上の英雄の名をいただき、血統も超一流でさも高そうな馬が、下級レースを勝ちあぐんでいたりする。名づけ親の心中が穏やかであろうはずがない。

 しかし、「名は体を表す」を地でいく名馬も時に出る。短距離王として君臨したサクラバクシンオーがその1頭だ。快速を飛ばして頂点を極めた勇姿は、まさにどんぴしゃりの“桜驀進王”だった。

 競馬の世界でスプリンターとは、人なら陸上の100〜200mの短距離選手で、1000〜1400mを得意とする馬のことだ。これに対をなすのがステイヤーで、人ならマラソン選手みたいなもの。主に2400〜3000m級を得意とする馬のことを指している。

 デビューは3歳1月の新馬戦(ダート1200m)。冬場は芝のレースが少ないこともあってダート戦が選ばれたが、ここを大差勝ち。続く初めての芝レース(1600m)も0秒0差2着に好走する。

 ダートで走ったのはデビュー戦のみ。以後は引退まで芝のレースで走ることになるが、再びスプリントに戻った3戦目の1200m戦はまたも圧勝だった。素質の高さは疑いようもなく、関係者はクラシック第1弾・皐月賞のトライアルレース、スプリングS(1800m)に出走させた。

 ところが、12着に惨敗。力不足、調子落ちというよりも、スタミナに問題がある感じだった。確かに3週間後のクリスタルS(1200m)では、前走の惨敗が嘘のような快勝で重賞初制覇。以後、サクラバクシンオーは短距離路線をひた走ることになる。

 昔の日本は長距離が尊ばれ、スプリンターが走る短距離は限られており、目標となる大レースもなかった。しかし、この時代になると“スペシャリストの分業制”が進み、名スプリンターが育つ膳立てが、まだ不完全ながらも整いつつあった。

 この新たに開けた短距離の王道を、サクラバクシンオーは突き進んだのである。だが、スプリンターとしては遅咲きで本格化したのは5歳の暮れ、スプリンターズS(1200m)を迎えてからだった。当時、短距離界に君臨していたヤマニンゼファー(GI・3勝馬)を、ここで撃破して初GIを手にしたのだ。

 6歳を迎えてスピードにさらに磨きがかかり、秋のスワンS(1400m)を日本レコードで勝利。続くマイルチャンピオンシップ(1600m)は2着に敗れたが、ラストランとなったスプリンターズSを、再び日本レコードで駆けて2連覇し、引退の花道を飾った。

 通算成績は21戦11勝。1400m以下の短距離では12戦11勝(日本レコード2回)と、ほぼパーフェクトな成績を残したサクラバクシンオー。種牡馬となってもその卓越したスピードを伝えて成功し、2011年4月30日、22歳で息を引き取った。

 今、その血をショウナンカンプ(高松宮記念)が引き継ぎ、晩年の傑作グランプリボス(NHKマイルC)にも、新たな血の継承が託されている。(吉沢譲治)


◆レース詳細
1994年12月18日
第28回 スプリンターズステークス(GI) 中山/芝右 外1200m/天候:晴/芝:良

1着 サクラバクシンオー  牡6 57  小島太  1:07.1
2着 ビコーペガサス    牡4 55  的場均  4
3着 キョウエイキーマン  牡6 57  松永幹夫 クビ

◆競走馬のプロフィール
サクラバクシンオー(牡6)
父:サクラユタカオー
母:サクラハゴロモ
騎 手:小島 太
調教師:境 勝太郎(美浦)
馬 主:さくらコマース
生産牧場:社台ファーム
※年齢は当時の旧年齢表記

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