スマートフォン版へ

笹田和秀調教師とのスペシャル対談、話題は“武豊談義”に!!

  • 2014年01月07日(火) 18時00分
太論


『太論』スペシャル対談第二弾。2013年、一番印象に残った出来事として、武豊騎手のダービー制覇を挙げた小牧騎手。笹田師もまた、長年、名門・伊藤雄二厩舎の番頭として、そして現在は調教師として、武豊騎手とは深いつながりがあるだけに、話題は自然と“武豊談義”に。はたして、笹田師が語る武豊騎手のすごさとは? 引き続き、熱いトークをお楽しみください!
(取材・文/不破由妃子)


■武豊は“トントン騎乗”を海外でマスター!?

──2013年の印象的な出来事として、武豊さんのダービー制覇を挙げられた小牧さんですが、そういえば、タバコを止められたのも武さんのダービー制覇がきっかけでしたよね。

小牧 そうそう。あんまり人には言ってないんやけどね。

──あの〜、タバコを止めたことも、そのきっかけも、太論で思いっ切り公開しているんですが…。

小牧 あ、そうなんや。僕、喋りっぱなしで読んでないから(笑)。

──小牧さん、『太論』はnetkeibaの人気コラムなんですから、たまにはチェックしてくださいね(苦笑)。笹田先生にとっても、武さんの活躍は印象に残ったのではないですか? 先生が長年、助手を務めていらした伊藤雄二厩舎といえば、主戦は武さんでしたし。

笹田 いや、彼の実力からすれば当たり前だからね。もっともっと活躍してほしいし、それができる人間だと思っているから。僕は助手時代、7頭のGI馬を担当したんやけど、そのうち5頭くらいはユタカで勝っているはず。

──そんな先生から見て、武さんの勝ち星が落ち込んだのは、なにが原因だと思われますか?

笹田 やっぱりケガでしょう。長い間、戦列を離れている時期がありましたからね。

小牧 僕もそう思います。たぶん痛かったんちゃうかなぁって。僕も11月に落馬して、幸い打撲で済みましたけど、それですらなかなか膝の痛みが取れませんでしたからね。だからゴルフの調子も悪かったし。

笹田 太、膝のせいにしたらアカンよ(笑)。

──実際、1週、2週お休みするだけでも、乗り馬に影響がありますものね。

小牧 流れが変わりますね。

笹田 そうやね。でも昔は“武豊”しかいなかったから、休んで出てきても極端に流れが変わることはなかった。でも今は、祐一に岩田、小牧太もいるからねぇ。

小牧 名前を挙げていただいてありがとうございます(笑)!

──安藤さん、小牧さん、岩田さんが移籍してきたあたりから、“武豊一辺倒”の流れが変わってきたように思います。それに今は、外国人ジョッキーもたくさん乗りにきますし。

笹田 実際、彼らは巧いです。やっぱり巧い。

小牧 僕もそう思います。日本にくる外国人ジョッキーたちは、世界で活躍しているジョッキーばかりですからね。巧いのは当たり前。

笹田 でも僕は、太たち地方出身のジョッキーは、外国人ジョッキーと変わらないと思ってるよ。数を乗ってるし、ずっと重い馬場で馬を動かしてきたわけだから、やっぱりJRAの競馬学校を卒業したジョッキーたちとは違う。その点、JRAの競馬はスピード競馬だからね。だから僕は、芝ではなくダートに乗せるでしょ? 外国人ジョッキーにしても、アメリカのジョッキーならダートに、ヨーロッパのジョッキーなら芝に乗せる。僕はそのあたり、ちゃんと考えてるよ。

──確かに、生え抜きのJRAジョッキー、地方出身のジョッキー、外国人ジョッキーでは、それぞれ騎乗フォームや追い方が違いますものね。

小牧 騎乗フォームや追い方については、いつも言うように答えがないんですよね。馬はしゃべれないから、正解がわからない。ひょっとしたら、よく話題に出る大きなアクションだからこそ、馬が動いているのかもしれないし。

太論

騎乗フォームや追い方には答えがない


──“トントン騎乗”ですね。その是非については、『太論』にも度々質問が寄せられます。笹田先生はどう思われますか?

笹田 僕がいい答えを出しましょう。海外を経験するまでのユタカは、両膝を付けて腕だけで追っていたんですよ。でも、海外に行ってから変わった。

小牧 ああ、確かにそうかもしれませんね。

笹田 馬っていうのは、背中に座った状態から前に出そうとしたら、腰をグイッと入れないと前に出ない。その動きが、今の“トントン騎乗”といわれるアクションにつながっていると思うんですよ。だから、理論的には間違っていない。ユタカはその基本形を、アメリカとヨーロッパに行ってマスターしてきた。だから今は、膝を開いてお尻の動きで馬を推進していくという乗り方をしているけど、ユタカの場合はきれいなフォームのままトントン騎乗の利点を採り入れている。見よう見真似でやっているのとは違うんです。祐一あたりは、それをわかっていると思う。

──小牧さんも「僕もたまにやるよ」とおっしゃってましたよね。

笹田 太の騎乗も理論は一緒。それでもJRAの形というか、きれいに乗ってると思う。太は3コーナーあたりでトントンやってるよな。よう見てるやろ?

小牧 おっしゃる通りです。コーナーでお尻を付くと、馬がブレないんですよね。

【次回の太論は!?】
スペシャル対談第三弾。まだまだ続く“トントン騎乗”談義。次回は、なぜここにきて、アクションの大きい騎乗法が取り入れられ始めたのか、笹田師がその理由を解き明かすとと同時に、いわく「凡人のふりをした天才」だというジョッキー・小牧太について、その魅力を語ります!
質問募集
太論 / 小牧太
このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。あなたから
コラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。
質問フォームへ

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング