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川崎記念展望&TCK女王盃回顧

  • 2014年01月28日(火) 18時00分


◆川崎記念展望
(1月29日 川崎 サラ4歳以上 定量 JpnI 2100m)

「川崎記念」は平成8年から交流G昇格。以後18年、綿々と“ダート王の歴史”を作ってきた。黎明期ホクトベガに始まり、アブクマポーロ、アジュディミツオー、そしてヴァーミリアン、スマートファルコン。実際のところどれもが名馬で、ピックアップすること自体が難しい。川崎2100m、ある意味トリッキー(鋭角コーナーを3度回る)な舞台だが、それでいておおむね当時のチャンピオンホースが、堂々と勝ち切ってきた重みというもの。もう一つ、平成2年(交流前)、ここでラストランを飾ったロジータ、彼女の直仔(15年カネツフルーヴ)、孫(13年レギュラーメンバー)がやはり川崎記念ウィナーとして続いたことも、競馬だけが持つドラマ性を感じてしみじみする。

 フリオーソ(20〜24年連続出場・2、2、2、1、3着)引退から1年あまり。地方ファンにとっては寂しい冬の時代だが、いつの日にか…とはやはり思う。川崎記念の歴史と意味、一つ救いになりそうなことを追記しておく。17年優勝タイムパラドックスから、近年セルサス、インサイドザパーク、ソルテ、ドラゴンエアル、交流ダートGを狙えるだけの逸材が続々と出てきたこと。むろんこれは、種牡馬としてのフリオーソ、スマートファルコンにもオーバーラップする夢だろう。フリオーソ(ダーレーS)、スマートファルコン(社台S)、それぞれ136頭、164頭、上々のスタート(人気・評判)を切ったと聞いた。川崎記念馬は川崎記念馬から…。おそらく数年後には可能性が出てくると思う。

 (1)…堅い決着。1人気[7-3-0-0]。連勝こそ昨年でストップ(ワンダーアキュート2着)したが、抜群の信頼度は論を待たない。2人気[3-2-3-2]、3人気[0-4-3-3]。3連単でさえ過去10年“万馬券”が出ていない。

 (2)…JRA断然。JRA=7勝、2着6回、3着7回。船橋=2勝、2着4回、3着1回は、すべてアジュディミツオー、フリオーソの記録で、基準にしづらい感がある。川崎1勝は16年エスプリシーズ。同馬は当時重賞連勝中だった。
 
 (3)…熟年層。7歳=4勝、2着1回、3着1回とリードする。次いで5歳=3勝、2着2回、3着3回。昨年ハタノヴァンクールは4歳12年ぶりの優勝で、総じて円熟期の5〜7歳が強い。前走東京大賞典組=7勝、2着7回。次いで名古屋大賞典組=2勝。

 (4)…先行型。逃げ=7、先行=9、差し=4、追込=0。実力馬(人気馬)が自ら勝ちに行くケースが大半で、過去10年、3コーナー5番手以降からの連対は1例もない。ジョッキーでは武豊騎手が6度騎乗して3勝、2着1回、3着1回と断然光る。

 ※データ推奨馬
 ◎トウショウフリーク…JRAダート1800m6勝。前走名古屋大賞典(2500m)、シビルウォーの2着で地方ダート適性も示している。円熟期を迎え、それでいてまだ新鮮味も残す(キャリア・21戦)7歳馬。父は次々とダートチャンピオン級を輩出するキングカメハメハ。武豊騎手の手綱にも魅力が大きい。

       ☆       ☆
 ◎ホッコータルマエ    57幸
 ○トウショウフリーク   57武豊
 ▲ランフォルセ      57戸崎
 △ムスカテール      57岩田
 △フリートストリート   57内田博
 △カキツバタロイヤル   57本田重

 ホッコータルマエが、どう勝つかというレースになった。昨年重賞7勝、内4つが統一GI。佐賀、名古屋、阪神、船橋、大井、金沢…あらゆる舞台、距離(1600〜2100m)をこなしただけに絶大な価値があり、ダートにおける競走能力はもちろん、心身両面の逞しさが何とも凄い。環境に応じ自ら体調を作ってくること、どんな状況(展開)にあっても100%燃焼すること。今回ステップは衆目一致、ドバイへの壮行戦…になるのだろう。思えばこのドバイWC、東北大震災の年、ヴィクトワールピサ優勝→トランセンド2着で日本中に少なからぬ勇気を与えた。今回いい形でクリアし本番を万全で臨めれば、おそらく互角以上の結果が出る。一枚落ちのメンバーで斤量57キロ。いっさい死角が浮かばない。

 以下、馬券上は“3連単”に絞って考える。幸・ホッコータルマエは折り合い重点、余裕を残して勝ちたいはずで、そうなるとトウショウフリークの逃げに有利。同馬は前述通りJRA1800m6勝。本来スタミナ、持久力に自信がある。最後タルマエにはねじ伏せられてもぎりぎり2着とイメージした。ランフォルセは一昨年スマートファルコンの2着、当時フリオーソに4馬身差をつけたが、以後一進一退で目立つ成長が感じられない。鞍上・戸崎、どれだけプラスアルファが期待できるか。ムスカテールは久々のダートが大きな減点。それなら今回少頭数ですんなり先行、内田博Jの腕も加味してフリートアスリートを上にみる。5→3→7、5→3→8の2点勝負。

◆TCK女王盃回顧
(1月22日 大井 サラ4歳以上 牝馬 別定 JpnIII 1800m良)

 ◎(1)メーデイア     1分51秒4
 △(2)ワイルドフラッパー   2.1/2
 △(3)カラフルデイズ      5
 ○(4)アクティビューティ    1/2
 ▲(5)ビタースウィート     1/2
 ……………
  (6)オメガインベガス
 △(7)カイカヨソウ
  (8)アムールポエジー
 △(10)レッドクラウディア

  単140円  馬複180円  馬単300円  3連複1190円  3連単2520円

 メーデイアが圧勝した。逃げたワイルドフラッパーを終始マークして一騎打ち。相手もしぶとく食い下がり、結果1800m=1分51秒4の快時計(レースレコード)が出たが、勝ちっぷり自体は完璧かつ危なげなかった。「彼女(メーデイア)らしい競馬ができた。道中ずっと手応えがよかったし、ここというところで伸びてくれる」(浜中騎手)。大井1800mにぴたりフィーリングが合うこともあるのだろう。同Jのコメント、表情は、いつにも増して自信にあふれ晴れやかさを感じさせた。単勝1.4倍を当然のように勝たせること。馬の能力はもろん、コンビの信頼関係もやはり大きい。

 メーデイアはキングヘイロー×ウィッチフルシンキング(父:ロードエイヴィー)の6歳馬。父の産駒は総じて気性面で難しいが(記者印象)、メーデイアの場合、雰囲気がかなり違う。パドックなど物足りないくらいおとなしく、しかしいざ実戦となって前へ前への闘志をみせる。「今春引退(繁殖入り)が決まっているし、まず無事に…と思っていた。強かったね。頭が下がるしホッとしている」(笹田調教師)。これで牝馬G、昨年から6戦6勝。近年女傑とされるラヴェリータ、ミラクルレジェンドと較べても、こと安定感、信頼度では互角以上の評価ができる。1年をパーフェクト、それこそ風のように駆け抜けたといえば、かつてロジータがそうだった。名牝の言葉がふさわしい。

 ワイルドフラッパー2着。メーデイアに正攻法で挑み自身大井1800m51秒9は素晴らしく、ごく客観的に次代女王候補といえるだろう。父は米GI4勝の中距離型。通算[5-4-0-5]、明け5歳だから馬が若い。カラフルデイズ3着は好騎乗、4コーナー巧みにインを突く隙のないレースぶり。地力、センスとも健在で、あとは相手関係になってくる。アクティビューティ4着は結果時計が速すぎた。馬場自体(砂の軽重)はひとまず水準と判断でき、今回は他馬の大駆け、他力本願の弱みが出たと納得する。ビタースウィートは結果5着ながら、メンバー中第3位の上がり38秒2。今回折り合い重点、手探りの騎乗とも見え、次走へ向け展望は悪くない。カイカヨソウは現時点でパワー不足。レッドクラウディアも成長力に不満がある。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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