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南アフリカにおけるシーズン前半戦の総決算・J&Bメットに注目

  • 2014年01月29日(水) 12時00分


◆出国制限が解除された今、結果次第ではこの後ドバイに向かう馬が現れる可能性も

 北半球の平地競馬は今、静かな時を過ごしているが、一方で盛り上がっているのが南半球だ。オセアニアや南米でもビッグレースが目白押しだが、今週末のハイライトとなるのが、2月1日(土曜日)にケニルワースで行なわれる、南アフリカにおけるシーズン前半戦の総決算G1J&Bメット(芝2000m)だろう。

 18頭で争われる今年のJ&Bメットで、人気を分け合うと見られているのが、ジャクソン(牡5、父ダイナスティー)と、マスターオヴマイフェイト(牡4、父ジェットマスター)の2頭だ。

 3歳春にデビューし、2戦目に初勝利を挙げると、怒涛の4連勝でケニルワースのG1ケイプダービー(芝2000m)を制したのがジャクソンだ。3歳秋にはG1グレイヴィル2000(芝2000m)でも後続に3.3/4馬身差を付ける快勝。古馬との初対決となった3歳最終戦のG1ダーバンジュライ(芝2200m)こそ17着に大敗したものの、南アフリカの次世代を担う存在としておおいに期待されたのが、3歳時のジャクソンだった。

 ところが、いささか不完全燃焼に終わったのが4歳時で、春はG1クイーンズプレート(芝1600m)2着の後、大目標だったG1J&Bメットが5着。2000mを越える距離は長いという陣営の判断で秋のG1ダーバンジュライは回避し、代わりに目標としたG1マーキュリースプリント(芝1200m)で4着となった後、4歳最終戦のG1チャンピオンズC(芝1800m)でようやくシーズン初勝利を挙げている。

 5歳を迎えた今季は、初戦のG2ダイアデムS(芝1200m)2着の後、オッズ2.0倍の圧倒的1番人気に推された前走G1クイーンズプレートも2着。相変わらずの歯がゆい競馬が続いているが、一方で安定感は抜群で、馬券の軸はこの馬という見方をするファンは多い。

 そのジャクソンと1番人気を争うマスターオヴマイフェイトは、目下6連勝中と、ここへきてグイグイ台頭してきた新興勢力である。

 デビューが3歳秋までずれ込み、3歳シーズン終盤間近の昨年6月26日にようやく初勝利を挙げた同馬。シーズン末までにもう1勝して3戦2勝の成績で今季を迎えると、クレアウッドパークとケニルワースの条件戦を連勝。重賞初挑戦となったケニルワースのG2プレミアトロフィー(芝1800m)もあっさり白星で通過し重賞初制覇を果たすと、前走1月11日にケニルワースで行なわれたG2グロリアスグッドウッドペニンシュラH(芝1800m)も快勝している。

 本当に強い相手とはまだ戦っていないこと、2000mを走るのはこれが初めてとなることなど、不安材料はあるが、未知の魅力にかけてみたいというファンが多く、単勝人気はおそらくマスターオヴマイフェイトが最上位になると見られている。

 これに続く3番手と目されているのが、マスターオヴマイフェイトと同世代の既成勢力ケイプタウンノワール(牡4、父ウェスタンウィンター)だ。

 デビュー6戦目にケニルワースのG1ケイプギニーズ(芝1600m)を制して重賞初制覇を果たすと、続くG1ケイプダービーも快勝。世代の最前線に躍り出た同馬。秋の目標だったG1グレイヴィル2000(芝2000m)では大接戦となった末に僅差の3着に敗れ、古馬に挑んだ3歳最終戦のG1ダーバンジュライでも7着に敗れたが、今季初戦となったG3マッチェムS(芝1400m)を白星で通過し4度目の重賞制覇。続くG2グリーンポイントS(芝1600m)で5着となった後、前走G1クイーンズプレートではジャクソンらを退けて快勝し3度目のG1制覇を果たしている。

 これに続く4番手評価が、昨季のG2ベッティングワールド1900(芝1900m)勝ち馬で、前走G1クイーンズプレートが3着だったジェットエクスプローラー(セン5、父ジェットマスター)だ。

 問題は展開で、典型的な逃げ馬が見当たらず、果たして誰がどんなペースを作るのかが、大きなポイントと見られている。更に、ジャクソンが14番、マスターオヴマイフェイトが9番、ケイプタウンノワールが10番、ジェットエクスプローラーが12番と、人気馬が揃って真ん中より外の枠を引いたことも予想を難解にしているファクターで、展開面での予測が難しいことを含めて、有力馬の騎手たちがどう乗るかが勝負を分ける鍵となりそうだ。

 アフリカンホースシックネスによる出国制限が解除された今、結果次第ではこの後、ドバイに向かう馬が現れる可能性もあるだけに、J&Bメットの結果には日本の皆様もぜひご注目いただきたいと思う。  

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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