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ジョッキー生活30年目の太、自身もビックリの記録更新

  • 2014年04月29日(火) 18時00分
小牧太

自身もビックリの記録更新


早い時期から「オークスへ」の期待があったレッドオーラムですが、忘れな草賞で7着に終わり、残念ながら出走は叶わず。この忘れな草賞を回顧するほか、アドマイヤカロ(4月13日・阪神2R・3歳未勝利)での大穴勝利や、今週末、新潟に乗り込むオリービンについて語ります。
(取材・文/不破由妃子)


■14番人気での大激走も「もともと能力があった」

──小牧さんのなかでは、早い時期からオークスを視野に期待していたレッドオーラムですが、4月13日の忘れな草賞は残念ながら7着。小牧さんにとっては待ちに待った2000mだったわけですが。

小牧 初めてのスタンド前からのスタートに戸惑ったのか、ゲートで暴れていたでしょ? いつもはあんなことする馬じゃないんやけどね。

──時期的に、フケがきていたのかなぁなんて思ったのですが。

小牧 いや、敗因はイレ込やね。休み明けやったし、スタンド前で返し馬からガーッとテンションが上がってしまって。パドックでも汗をビッシリかいてましたわ。毛ヅヤがようなっていたから楽しみにしてたんやけど、とにかくイレ込みが激しかった。

──本来、あんなに負ける馬ではないですものね。

小牧 そうやねん。道中もまったく掛からない馬やし、最後もしぶとい脚を持っているからね。でも、この前はゲートで後手を踏んで、最後はもう脚がなかった。イレ込みのせいやと思うんやけど…最後は止まってしまっただけに、距離もわからんようになったなぁ。とにかく今の時点ではなんともいえんね。それにしても、GIで乗る馬が次々とおらんようになったわ(苦笑)。皐月賞も頼まれていた馬がいて、こっち(阪神)でも乗る馬が決まっていたからどうしようかって考えてたんやけど、結局乗らんようになって。天皇賞の日も、オリービンで新潟(5月4日・谷川岳S)に行くことになりましたわ。

──心斎橋S(3月30日・阪神10R)の直線は、実に力強い伸び脚でした。小牧さんの腕っ節の強さが際立つレースでしたね。

小牧 でも、本調子じゃなかったんよ。4コーナーでも内に入りそうなくらいモタれて、道中もずっと右にモタれて苦労したんやけど、終わってみれば快勝やったね。久しぶりに強かった。

──以前からモタれ癖のある馬でしたっけ?

小牧 いや、なかった。でも、ユタカくんが乗ったときに(3月8日・武庫川S2着)モタれたらしいんだわ。なんせ僕自身、あの馬に乗るのは1年ぶりやったからね。でも、思っていた通り、ああいう馬場(重)は巧いわ。

──オリービンにとって、デビュー以来初めて経験する重馬場でしたが、小牧さんは適性を見抜いていたと。

小牧 うん。もともとダートでも走りそうな馬やから。お父さんがダイワメジャーでしょう。ダイワメジャーの仔はパワーがあるから、馬場が悪くても走るんだよね。最近つくづくそう思うわ。僕が血統のことをいうなんて、らしくないんやけど(笑)。

──たしかにちょっと意外です(笑)。ここはひとつ、連勝といきたいですね。

小牧 ホンマやね。この前が本調子じゃなかったぶん、状態も上がってくるやろうし、期待を持って行ってきますわ。

──それから、最近でビックリしたのがアドマイヤカロ(4月13日・阪神2R・3歳未勝利)。なんと14番人気での大金星でした。

小牧 あの馬、初戦はダメ(秋山騎手騎乗で1.6秒差12着)やったけど、攻め馬は走るらしいんですわ。それで、「この馬、ビシビシ行ったら走るかもよ」っていう話は聞いていて、実際、助手さんにも「ビッシリ行って」っていわれてね。スタートして隣の馬が真っ直ぐに行ったもんやから、たまたま視界が開けて、“今のうちや!”と思ってバシバシ追ったら、スーッと2番手までいけてね。

──4コーナー先頭から、余裕をもって押し切りましたね。

小牧 もともと能力はあったんでしょう。まだまだ幼いところがあるけど、いいものを持ってるよ。

──単勝13,510円という高配当でしたが、小牧さん、これまでにご自分が出された単勝万馬券は覚えていますか?

小牧 いや、全然覚えてない。

──中央では、小牧さん史上3本目の単勝万馬券だったんですが、なかでも今回が最高配当だったんですよ。ジョッキー生活30年目にして、記録を更新しました。

小牧 そうなんや(笑)。僕もまさか勝てるとは思ってなかったけど、そんなに(配当が)ついたんやね。中央で出した前の2本はいつのレース?

──1本目は2001年8月26日、小倉9R(高千穂特別)のエイシンロンポクです。全然行けなかった馬を小牧さんがテン乗りでいきなり逃げさせて、そのまま逃げ切ったレースでした(単勝10,050円)。

小牧 へぇ〜。全然覚えとらん。もうひとつは?

──2004年6月27日、阪神6R(3歳上500万下)のサンダースキムで、2番手からギリギリいっぱい粘ったレースでした(単勝11,530円)。これもテン乗りだったんですが、その後も3戦続けて騎乗されてます。

小牧 ん〜、思い出せんわ。でも、そういう馬の場合、大抵それっきりこれっきりちゃう(笑)? あ、アドマイヤカロは走ってくると思うよ。まだ太いし、今は能力だけで走ってる感じやけど、上に行ってもやれるんちゃうかな。

小牧太

アドマイヤカロは走ってくると思うよ。上に行ってもやれるんちゃうかな。



【次回の太論は!?】
 4月から「スポーツニッポン」で新コラムがスタートした小牧騎手。「お客さんに当ててもらえるように」と、毎週、推奨馬を挙げているそうですが、それが逆にプレッシャーなって……。次回は「競馬は難しい!」と頭を抱える小牧騎手の嘆き節をお届けします!
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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