スマートフォン版へ

二強を過信するなかれ!/京都記念

  • 2015年02月11日(水) 18時00分

■京都記念(G2・京都芝2200m外)フルゲート18頭/登録12頭


【コース総論】京都芝2200m外 Bコース使用

・コースの要所!

★かなり内枠有利である可能性が大。勝率や連対率の差はかなりのもの。
★瞬発力の要求度が非常に高いコースも、優勢なのは先行〜差し脚質の馬。
★人気サイドが圧倒的に強く、ふたケタ人気馬はその時点でかなりキツい。



 京都記念のほかにも、エリザベス女王杯や京都新聞杯など重賞が行われている、京都芝2200m外。これらのレースもそうだが、人気馬の信頼度が非常に高いというのが、このコースの大きな特徴だ。今回は2010年以降を対象としたが、1000万下〜重賞において、ふたケタ人気馬が馬券絡みを果たしたのは、たったの3回しかない。

 また、京都の芝コースらしく、かなり内枠有利であるのもポイント。データ母数が少ないので開き直ってより偏ったデータを抽出してみたのだが、馬番1番〜6番と7番〜12番で比較すると、勝率や連対率に驚くほどの差が出ている。連軸や1着軸には、できるだけ内の馬番を引いた馬をチョイスすべきコースだといえる。

 脚質に関しては「追い込みが届かない」という点を強調しておきたい。瞬発力要求度の高いコースでもあり差しは届くのだが、直線が平坦であるため、前もそう簡単には崩れない。最後方からの競馬だと取りこぼす可能性が高そうで、たとえ少頭数でも過信は禁物。ハープスターが取りこぼすケースも、十分に考えられる。

【レース総論】京都記念(G2) 過去10年

・レースの要所!

★3番人気以内馬の信頼度が圧倒的に高く、回収率も人気にしては高め。
★東西金杯や日経新春杯などに出走していた「今年2走目」の馬が不振。
★4歳〜6歳は互角も7歳以上馬は低調な成績。関東馬も未勝利で割引か。
★勝ち負けには速い上がりが必須。外枠からの差しがバンバン決まる。






 人気馬の強さはレースデータになっても同じで、3番人気以内馬は[7-7-5-11]で連対率46.7%、複勝率63.3%と上々の信頼度をマーク。ただし、期待値に関しては4番人気〜6番人気のほうが上で、ここが1頭は上位に食い込んでくると考えるべきか。少頭数での開催が多いのもあって、人気薄は総じて期待薄。今年も、7番人気以下馬は買いづらそうだ。

 年齢別では、7歳以上馬が[0-0-1-26]と絶不調。4歳馬〜6歳馬に関してはそれほど差はなく、高齢馬を割り引くだけでオッケイだ。勝ち馬に関しては完全な西高東低で、過去10年の優勝馬はすべて関西馬。有馬記念や香港国際競走からのローテが非常に強いことから、前走の「格」がモノを言うレースと考えていいだろう。

 気をつけたいのが、ここが年明け2戦目となる馬の扱い。というのも、前走で日経新春杯、東西金杯、AJCCの3レースに出走していた馬が、トータル[2-1-4-29]で連対率8.3%、複勝率19.4%とイマイチなのである。ちなみに、このパターンで好走した馬のほとんどが、前走3番人気以内。この条件を満たせない馬は、大幅に割り引いて考えたい。

 あとは、コースデータと真逆の傾向が出ている、馬番別成績にも注目。内の馬番が不振で外が好調であり、外枠から差す馬の強さが目立っている。コースデータとレースデータのどちらを信頼するべきか難しいところで、折衷案として「内枠の先行勢」と「外枠の差し馬」をプラス評価するというスタンスを、現時点では推奨しておこう。

【馬場&血統総論】


・現在の馬場
 引き続きBコース。適度に前も残り差しも決まる、フラットな状況な印象。

・天候予測
 曇天が続くも週末は晴れそう。冷え込みも厳しく、硬い良馬場を想定。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎、キングカメハメハ産駒△、ダンスインザダーク産駒△

 集計期間内の勝利数からして、まさに圧倒的なディープインパクト産駒の成績。勝利数2位のキングカメハメハ産駒が4勝であるのに対して、なんと15勝というぶっちぎりの強さを見せている。その勝率や連対率の高さは見てのとおりで、平均人気が高いといえど、これには逆らえない。ジャンポケ産駒やハーツクライ産駒も強いが、今年の京都記念にはエントリーがないことから、完全に「一強」といえそうだ。

 なかでも強いのが馬格のあるディープ産駒で、馬体重480キロ以上での出走に限れば連対率44.4%、複勝率55.6%という驚異的な強さに。回収率も単勝170%、複勝121%と非常に高く、もし見かけたら積極的に狙っていきたい。キズナやハープスターはもちろんのこと、ヒラボクディープも侮れないかも。

★出走登録馬・総論×各論

 キズナ、ハープスターというエース級がここから始動とあって、ファンの注目度も高そうな今年の京都記念。人気は完全に二強対決の図式となるはずで、3番人気になりそうなラブリーデイとのオッズ差は、かなりのものになりそう。いささか極端な登録メンバーといえるかもしれない。

 では、この2頭が信頼に足るかといえば「否」である。実績が比較にならないのは誰にでもわかる話だが、キズナは昨年の天皇賞・春以来のレースで、しかも先を見据えた調整過程でもあるはず。ブランクが長い上に叩き台でもあるわけで、コロッと負けるケースも十分にあるはずだ。

 また、ハープスターも京都の芝は今回が初出走で、ここは2ヶ月半の休養明け。先のドバイ遠征を見据えた調整でもあり、ここでカリッカリに仕上げてくるワケがない。極端な脚質であるのは同馬の抱える最大のウィークポイントで、前が止まらない京都の芝も、プラスではないはず。こちらも、取りこぼす可能性はイメージよりも絶対に高い。

 というわけで、無理は承知でラブリーデイをトップ評価としたい。今回の登録メンバーで数少ない「前々で流れに乗れる馬」であり、これはキズナとハープスターに一泡吹かせる上での必須条件。キンカメ×ダンスインザダークという配合も好印象で、鞍上が戸崎ジョッキー予定であるのも、プラス評価の対象である。

 二番手評価に、引き続き無理を承知でトウシンモンステラ。前走の日経新春杯は最後方からの競馬で8着だったが、本来はゲートさえ出れば、もっと前の位置取りができる馬だ。また、前走が「3番人気以内」であり、年明け2走目の馬の好走条件もクリア。岩田ジョッキーの、積極的な手綱さばきに期待したい。

 以下はキズナ、ハープスター、ラブイズブーシェ、スズカデヴィアスという評価順。もっとも、超スローの瞬発力勝負が濃厚なメンバー構成だけに、二強があっさりワンツーを決める可能性も高いとは思われる。そう覚悟した上で、二強が並び立つことはないとケンカを売る。この、ハイパー攻めの姿勢での勝負をオススメしておこう。


■クイーンC(G3・東京芝1600m)フルゲート16頭/登録20頭


 1番人気馬の信頼度が、[5-2-0-3]で勝率50.0%、連対率70.0%と非常に高いクイーンC。過去10年の勝ち馬はすべて4番人気以内と、順当決着傾向のかなり強いレースである。人気薄も2着〜3着にはポツポツと来るのだが、7番人気以下のトータル成績[0-2-3-93]と、その激走率はかなりの低さ。ここを狙うのは、効率がいいとはとても言えない。

 レースの特徴としてあげたいのが「前走最速上がりの馬が勝てない」という点だ。いかにも東京芝マイルに向きそうに思えるし、実際に人気にも推されやすいタイプなのだが、その成績は[0-2-4-25]とイマイチ。末脚一辺倒で勝てるほど、このレースは甘くはない。好位〜中団から、ソコソコの末脚を繰り出せるような馬を狙うべきなのである。

 あとは、前走で1600m〜2000mに出走しているのも、好走の必要条件。新馬や未勝利を勝ったばかりの馬や、前走ダート戦出走組は、その時点で厳しい。以上のような条件から、人気の中心となりそうなキャットコインやロカの過信は禁物。注目馬には、シングウィズジョイペルフィカホワイトウインドメイショウメイゲツロッカフラベイビーの5頭をあげておきたい。


■共同通信杯(G3・東京芝1800m)フルゲート16頭/登録14頭


 登録頭数こそフルゲートを割り込んだが、アヴニールマルシェにドゥラメンテ、リアルスティールなど、クラシックの主役候補が何頭も出走を予定している共同通信杯。波乱となった2008年のようなケースもあるが、こちらも基本的には順当決着傾向が強く、人気サイドを信頼したほうがいいレースといえる。

 まずは実績面だが、新馬・未勝利を勝ったばかりの馬は過去10年[0-0-0-15]とまったく馬券絡みがなく、前走500万下組も[1-1-3-29]とイマイチ。対照的に、前走G1組[2-2-1-5]、前走G3組[4-4-4-19]と前走重賞組が絶好調で、前走オープン特別組も好調。前走で出走したレースの「格」が、そのまま結果に繋がっている。

 また、好位で流れに乗れる組がもっとも信頼できるコース&レースであり、前走で4コーナーを10番手以下で通過していたような馬は、大幅割引の対象。クイーンCもそうだが、好位〜中団やや前からのチョイ差しが理想的で、瞬発力特化型だと厳しい部分がある。あとは、いわゆる「叩き2走目」の馬が強いのも、押さえておきたいポイントだ。

 以上のような理由から、もっとも高く評価したのはアヴニールマルシェで、二番手にドゥラメンテ。あとはソールインパクトアンビシャスも、好走が期待できるパターンといえそうだ。リアルスティールはデータ的に買いづらく、しかも人気ならばなおさら。素晴らしい馬体の持ち主だけに侮れないが、やはりオススメはしかねる。


■総論×各論・先週の馬券回顧



1着 06ヴァンセンヌ
2着 13アルフレード
3着 10フルーキー

2番手評価のヴァンセンヌが勝って、6番手評価の伏兵アルフレードが2着。そしてトップ評価のフルーキーが3着。いかにも獲れていそうなのに、「ヌケ」という情けない結果でございます。アレだ、オッズに釣られてマイネルメリエンダにアレコレ託しすぎ(切腹)。

※コース&血統データは2010年以降、レースデータは2005年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

No.1予想にて関西全レース予想提供中!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング