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勝つべき馬が必然で勝つレース/日本ダービー

  • 2015年05月27日(水) 18時00分

■日本ダービー(G1・東京芝2400m)フルゲート18頭/登録26頭


【コース総論】東京芝2400m Cコース使用

・コースの要所!

★上位人気が強いCコース。対照的に人気薄は全体的にイマイチな成績。
★内枠有利の傾向がコース全体よりも強まる。今週はとくに要注意!
★差し優勢なのは不変も先行勢が粘る確率はアップ。前残りが要警戒。






 掲載しているデータは、先週のオークス分析とほとんど同じ。本当はCコースに限定したデータを載せたかったのだが、施行レース数自体がそれほど多くないコースでもあり、それではデータの母数が少なくなりすぎてしまう。泣く泣く諦めて、Cコースの特徴については本文中で触れていくことにしたい。

 1番人気馬が強いコースであるのは先週も解説した通りだが、これがCコースになると「上位人気が強い」といった傾向へとシフト。3番人気以内[5-6-2-14]で連対率40.7%と、その信頼度はかなりのものだ。対照的にサッパリなのが人気薄で、ふたケタ人気馬は[0-1-1-77]で複勝率わずか2.5%。10番人気以下馬を連軸で狙うような馬券は、ここではさすがにオススメしかねる。

 また「内枠有利」の傾向が強まるのもCコースの特徴。内枠である馬番1〜6番は全体でも好成績だが、Cコースでは[8-2-3-41]で複勝率24.1%、単勝回収率158%、複勝回収率108%と、期待値がさらに上昇する。昨年Cコースで行われたダービーとジャパンCでも、内枠から2頭が馬券に絡む大活躍。当然、今年も要注意だといえる。

 あとは、Cコースのほうが「前残り」が多いのも、絶対に覚えておきたいポイント。コース全体では差し脚質が信頼度トップだが、Cコースに限定したデータでは、先行脚質の信頼度がもっとも高くなる。つまり「内枠から先行できる馬」の期待値が、コース全体よりも格段に高いということだ。今週のように、B→Cコース替わりのタイミングでは、なおさら重視しておきたい。

【レース総論】日本ダービー(G1) 過去10年

・レースの要所!

★過去10年で9回が3番人気以内馬の勝利。アタマは人気馬に決め打つのを推奨。
★内枠の勝率が異常なほど高いレース。脚質を問わず内枠は徹底的にマーク!
★騎手の乗り替わりは大幅な割引材料。連対候補は継続騎乗の前走上位人気馬。








 ダービーを勝ち負けする上での必要条件が「人気」である。過去10年の勝ち馬は10頭中9頭までが3番人気以内で、これは昔から一貫している傾向。1986年以降の過去29年まで範囲を広げても、4番人気以下で勝った馬は4頭だけ。8番人気以下で勝った馬は、1頭たりとも出ていない。2着〜3着のヒモはけっこう紛れるのだが、アタマは徹頭徹尾「堅い」のが、日本ダービーというレースなのだ。

 データ面でもっとも注目すべきは「枠番」だろう。過去10年のうち9年までが「馬番1番〜5番」の勝利で、なかでも強烈に強いのが4勝5連対の1番。さすがにコレは偏りすぎだが、ダービーが内枠有利の傾向にあるのは間違いない。ここでは少し範囲を広げて、馬番1番〜7番をプラスに評価するスタンスを推奨しておこう。

 また、コースデータでも触れた通り「差し優勢であるが前も意外に残せる」のがダービー。コースは同じでも、このあたりは先週のオークスとはガラッと変わる。もっとも、勝ち馬の8割が「上がり3F順位2位以内」であり、相応の瞬発力がなければお話にならないのも事実。とくに1着候補に関しては、やはり差せるタイプのほうが安心感がある。

 乗り替わりが大幅な割引材料になるのはG1の常で、連対馬に関しては継続騎乗であるのが必要条件。連対馬のほとんどが「継続騎乗×前走上位人気」という条件を満たしている。ただし、3着のヒモに関しては話が別で、こちらは「継続騎乗×前走人気薄」や「乗り替わり×前走3番人気以内」の馬のほうが狙い目。勝ち馬候補、連対候補、3着候補を分けて考えるのが、このレースについては効率がいいかもしれない。

【馬場&血統総論】



・現在の馬場
 今週からB→Cコース替わり。内ラチ沿いが有利となる可能性大で要注意。

・天候予測
 日曜日に降雨がある可能性はかなり高そう。稍重〜重でのレースもあるか。

・注目血統
 ハーツクライ産駒◎、ディープインパクト産駒○、ゼンノロブロイ産駒▲

 現在も前がそうそう止まらない東京芝だが、今週からのCコース替わりで、その傾向がさらに強まる可能性アリ。差し優勢のコースといえど、そうそう楽に差せる展開にはならないだろう。しかも、日曜日は高確率で雨。降り始める時間帯や降雨量次第では、さらに差しづらい馬場となるかもしれない。

 血統面の評価は、先週のオークスとまったく同じ。ディープインパクト産駒は強いが、強すぎるというわけではなく、ハーツクライ産駒やゼンノロブロイ産駒でも十分に勝負になる。キンカメ産駒は全体ではそう高く評価できないのだが、5番人気以内馬に限れば[13-7-6-23]で連対率40.8%、複勝率53.1%と高信頼度。レーヴミストラルはともかく、ドゥラメンテについては、父を不安視する必要はあるまい。

★出走登録馬・総論×各論

 ここまでデータを分析してきて感じるのが、ダービーというのは本当に「勝つべき馬が勝っているレース」であるということ。人気薄の1着を果敢に狙うのも個人的には大好きだが、ことダービーとなると腰が引ける。枠番による成績の偏りについても「強い馬がたまたま内枠に偏って入った」と考えたほうがいいのかもしれない。

 ……などと迷う部分はあるが、皐月賞馬ドゥラメンテと同2着のリアルスティールが、他を一歩も二歩もリードしているのは間違いなし。そこに割って入る可能性があるとすれば、皐月賞の1番人気馬であるサトノクラウンだが、不利があったとはいえ皐月賞の結果には不満が残る。というわけで、今年は三強ではなく「二強」というのが、現時点での評価である。

 二強の評価はほぼ同じ。皐月賞で他馬を並ぶ間もなく差し切ったドゥラメンテの瞬発力は高く評価するも、あの荒々しいレースぶりを見ると、距離延長について折り合い面で不安が残る。その点、リアルスティールは欠点らしい欠点が見当たらない優等生タイプ。ただしこちらも、完璧に乗った皐月賞で負けたのだから、そこからの上積みがどうかという点で不安を残す。勝つ確率が高いのはドゥラメンテで、連対率が高いのはリアルスティールという印象だ。

 上位に評価したのはこの2頭だけで、以下はかなりの接戦。三番手評価がサトノクラウンで、四番手にサトノラーゼン、五番手ミュゼスルタンの3頭が「中位」評価組。以下は3着のヒモ候補で、キタサンブラック、レーヴミストラル、タンタアレグリア、ポルトドートウィユ、アダムスブリッジという序列である。

 大きく紛れるケースなどまったく考えられず、アタマは2強に決め打ち。ただし、この2頭が並び立つかどうかはまた別の話で、個人的には大恥をかくのを承知で、二強が「並び立たない」ほうに賭けてみたい気持ちが強い。明日には枠番が決まるが、その上で最終的な結論を、じっくり時間をかけて考えてみたい。


■目黒記念(G2・東京芝2500m)フルゲート18頭/登録20頭


 今年も、いかにもハンデ戦「らしい」馬が登録してきた目黒記念。高配当を狙うなら、ダービーよりもこちらのほうが格段にオススメだ。ファタモルガーナとムスカテールが人気の中心になりそうで、1番人気馬の信頼度も高いレースではあるのだが、昨年のような大波乱も十分ありそうな雰囲気である。

 まず、真っ先に目がいくのが「ハンデ57.5キロ以上馬」の不振である。トータル[1-2-0-18]で複勝率14.3%、複勝回収率21%とかなりの低期待値で、昨年もムスカテールとアスカクリチャンが、ともに掲示板にすら載れていない。馬券に絡んでいるのはすべて2番人気以内馬で、ハンデ57.5キロ以上の3番人気以下は、なんと全滅。この時点で、オーシャンブルーとムスカテールはかなり買いづらい。

 同様に、ハンデ52キロ〜53キロ馬も大不振。軽ハンデ組ならば、いっそのことハンデ51キロ以下馬を狙ったほうが、まだナンボか面白い。というわけで、目黒記念で買うべきはハンデ54キロ〜57キロの馬が中心。なかでも「前走ひとケタ人気の5歳以下馬」を狙うのが、いちばん効率がいい。

 これらの条件をキッチリ満たすのが、アドマイヤスピカダービーフィズトウシンモンステラレコンダイトの4頭。オッズもけっこう割れるだろうし、この4頭をそのまま買っても、意外にいい配当が期待できそうである。


■総論×各論・先週の馬券回顧





1着 10ミッキークイーン
2着 14ルージュバック
3着 17クルミナル

大ハズレ(悲嘆)。ミッキークイーンの3番人気に、いかに競馬ファンが馬券上手かを痛感しました。終わってみればオークスらしい順当決着で、やっぱり荒れそうで荒れないレース。うまく乗られたルージュバックをあっさり捉まえるんだから、勝ち馬は強いデスネ。

※コース&血統データは2010年以降、レースデータは2005年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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