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いかに買うかが問われるレースに/エプソムC

  • 2015年06月10日(水) 18時00分

■エプソムC(G3・東京芝1800m)フルゲート18頭/登録17頭


【コース総論】東京芝1800m Cコース使用

・コースの要所!

★1番人気の連対率53.9%、複勝率70.8%と信頼度抜群。人気馬が強い。
★内枠である馬番1番〜6番の好成績が目立つ。内枠有利と考えるべき。
★東京の芝ながら先行勢が圧倒的な強さ。かなり前重視の姿勢を推奨。






 ポケットから斜めにバックストレッチへと進入するという特殊なコース形態ながら「府中の千八、展開要らず」という競馬格言があるほど公平なコースといわれる芝1800m。しかし、東京芝1600mから200m延長されたダケながら、人気馬の信頼度や好成績を残している脚質など、その傾向は大きく異なっている。

 まずは人気別成績だが、連対率53.9%、複勝率70.8%という数値が示す通り、その信頼度の高さはかなりのもの。全体的に人気サイドが強い印象で、ふたケタ人気馬の3.7%という複勝率の低さからも、高配当を狙ってブンブン振り回すスタンスは推奨しかねる。あって、人気馬からのヒモ紛れ程度と考えたほうがいい。

 また、内枠の好成績や先行勢の強さも、ぜひ意識しておきたいポイント。とくに先行勢の強さは、差し馬が圧倒的に強い東京の芝コースにあって「例外」といえるほどだ。逃げた馬もけっこう残っており、現在の馬場コンディションやバイアスを考えると、なおさら警戒が必要。軸馬は、前々で流れに乗れる馬からチョイスすべきである。

【レース総論】エプソムC(G3) 過去10年

・レースの要所!

★8番人気以下の連対例は過去10年でゼロ。イメージ以上に堅く決まるレース。
★「内枠・4歳以下・先行勢」が勝ち負けの3条件。兼ね備える馬をアタマで。
★前走マイラーズC組が猛烈に強いレース。その他は格よりも「勢い」を重視。








 もっと荒れているイメージがあったエプソムCだが、実際は「かなり」堅いレース。1番人気は[3-2-2-3]、3番人気以内馬[5-8-4-13]という成績からもわかるように、上位人気馬の信頼度は非常に高い。過去10年の連対馬はすべて7番人気以内で、8番人気以下馬は[0-0-4-100]と、3着にくるのが精一杯なのである。

 特徴的なデータはいくつもあるが、まずは年齢別成績から。出走数は5歳以上馬が圧倒的に多いのだが、強いのは4歳以下の若い馬。4歳以下馬の連対率が27.8%で、5歳以上馬のそれは7.2%と、そこには20%以上という大差が出ている。昨年こそ5歳馬の勝利だったが、その前は3年連続で4歳馬のワンツー決着。ここは、若い馬重視がオススメだ。

 あとは、コースデータよりもさらに「内枠&先行有利」の傾向が加速するのも、エプソムCの重要なポイント。馬番1〜6番は、複勝率25.0%、複勝回収率100%、枠番値+0.7と素晴らしい期待値の高さを誇っている。また、先行した馬の強さは東京芝とは思えないほどで、後方から追い込んで勝った馬は1頭も出ていない。内枠から先行できる馬は、最優先でフォーカスに組み込むべきである。

 最後にもうひとつ、マイラーズC組の異様なまでの強さを紹介しておこう。データ母数が少ないので強調はできないが、トータル[3-2-1-3]で勝率33.3%、連対率55.5%というのは驚異的な成績。今年はフルーキーとマイネルホウオウがこれに該当するが、前走メイS組(※今年の場合はモンゴル大統領賞)や新潟大賞典組と比較して、期待値が格段に高いパターンであるのは間違いなく、そういう意味でも要注目の1頭といえる。

【馬場&血統総論】



・現在の馬場
 Cコース継続。開幕終盤ながら差し馬場へと転化した印象はない。

・天候予測
 不安定な空模様が続く。今週も多少の降雨があっておかしくない。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎、シンボリクリスエス産駒○

 差しが決まるケースが増えてきた印象ではあるが、東京の芝コースは本来こういうもの。馬場の内側も見た目ほどは傷んでいないようで、先行勢もペース次第でしっかり残せるコンディションである。コースの傾向や前開催〜今開催の結果から考えるに、中団やや前あたりのポジションが、もっとも有利となりそうだ。

 血統面では、ディープインパクト産駒が連対率27.3%、複勝率40.5%というシャレにならない強さを発揮。好走率の高さは、同じ東京でも芝マイル戦とは比較にならない。もう完全な「一強」状態であり、その他ではシンボリクリスエス産駒の成績が目立つ程度。素直にディープ産駒を信頼するのが、好結果に繋がるコースである。

★出走登録馬・総論×各論

 デビューから7戦で6勝をあげているエイシンヒカリや、目のさめるような末脚でモンゴル大統領賞を制したサトノアラジン、昨年の覇者ディサイファ、安田記念の予定を変更してここに出走してきたフルーキーなど、なかなか面白いメンバーが登録してきた。枠番決定前のマクロな見立ては「能力拮抗も上位人気でキッチリ決まる」である。

 僅差でトップ評価となったのはフルーキーだ。サトノアラジン、エイシンヒカリといった4歳馬のほうが優勢なレースだが、こちらには好位で流れに乗れるのが大きなプラス。さらに、成績抜群のマイラーズC組であることや、重賞での好走実績もポジティブな材料。梅雨時の微妙な空模様も、この馬にはプラスに働くとみている。

 二番手評価がサトノアラジン。近走で見せている末脚の鋭さは素晴らしいもので、前走と同コースで今回も持ち味をフルに発揮。伸び盛りの4歳馬で「ディープ×Storm Cat」の血統もプラスと、こちらも買い材料はかなり多い。当日の天候や馬場のバイアス次第では、勝率がもっとも高い馬となる可能性もありそうだ。

 そして、三番手にエイシンヒカリ。ここもハナを切ると思われるが、逃げ切った馬が過去10年で1頭も出ていないのは懸念材料だ。また「前走から斤量減」となる馬の勝率が非常に低いのも気がかり。血統や戦績は大きな魅力で2〜3着にくる可能性は高いが、勝率は意外に低いのではないか──というのが現時点でのジャッジである。

 ここまでが上位評価組で、以下はディサイファ、ヒラボクディープ、ダノンジェラート、サンレイレーザーという評価順。おおむね人気に即した序列であり、我ながら面白味に欠けるジャッジである。「人気馬がすべて外枠」といった枠番にでもなれば穴を狙ってみたくなるが、そうでもなければ順当決着となる公算が大。それでいかに儲けるかという、馬券の買い方が試されるレースとなりそうだ。


■マーメイドS(G3・阪神芝2000m)フルゲート16頭/登録24頭


 現在の条件で施行されるようになって、今年で9年目を迎えるマーメイドS。その波乱傾向の強さは並大抵のモノではなく、過去8年でふたケタ人気馬が[1-4-2-32]と7頭も馬券に絡んでいる。1番人気と2番人気が馬券に絡んだ昨年も、2着は13番人気のコスモバルバラ。今年も、人気薄が1頭は上位に食い込むと考えたほうがいい。

 ハンデ戦ということで、まずは斤量から。このレースはハンデ53キロ以下馬が[6-5-5-51]と絶好調。なかでも激アツなのが5勝をあげている「ハンデ53キロ馬」で、ハンデ52キロ馬もなかなかの好成績。単にハンデ52〜53キロ馬を狙うのではなく、ターゲットを近年活躍が目立つ「前走馬体重459キロ以下馬」に絞り込むのをオススメする。

 対照的に、ハンデ54キロ以上馬は[2-3-3-36]と明らかに劣勢。今年はウインプリメーラとバウンスシャッセの2頭だけだが、好走例が逃げ〜先行でなく差し〜追い込みに集中していることから、バウンスシャッセのほうを上に取りたい。ハンデ53キロ以下では、マリアライトリラヴァティレッドセシリアの3頭が注目馬である。


■総論×各論・先週の馬券回顧




1着 06モーリス
2着 13ヴァンセンヌ
3着 12クラレント

春のG1シリーズも終盤戦。「よ〜しパパ高配当狙って頑張っちゃうぞ〜!」とばかりにフィエロから3連単を買ってみるも、まるでダメ(憔悴)。モーリスがスタートを決めて好位を追走している時点で、想定とはまったく違うもんな。今回は素直に白旗っすよ。

※コース&血統データは2012年以降、レースデータは2005年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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