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トウショウ牧場閉鎖へ オーナー系牧場は生き残れるか

  • 2015年09月28日(月) 18時01分
教えてノモケン

▲スイープトウショウを輩出したトウショウ牧場が閉鎖へ(写真は2005年エリザベス女王杯優勝時)


トウショウボーイ、スイープトウショウなどの活躍馬を輩出し、競馬界で一世を風靡したトウショウ牧場(社名はトウショウ産業トウショウ牧場)が、10月いっぱいで閉鎖されることが9月2日に明らかになった。建設・不動産業界出身で参院議長まで歴任した藤田正明氏(故人)が設立し、半世紀に及ぶ歴史を誇った同牧場の閉鎖は、2011年のメジロ牧場に続く、有力オーナーブリーダーの撤退となる。今年に入って、景気回復を受けてセリ市場の好調が持続。生産界全体が小春日和ムードに包まれているのとは対照的で、国内の競走馬生産とオーナーシップのあり方に転換期が訪れていることを改めて印象づけた。

→関連ニュース『名門トウショウ牧場が閉鎖 10月いっぱいをめどに』
→関連ニュース『スイープトウショウはノーザンファームへ売却されることに』

セレクトセールで見えた予兆


 トウショウ牧場の異変は、2013年7月のセレクトセール(日本競走馬協会主催)で既に感知されていた。1歳部門に父ディープインパクト、母スイープトウショウの牡馬が上場され、1億円(税抜き、以下同)で寺田千代乃氏が落札した。後のレガッタ(栗東・昆貢厩舎)である。牡馬相手に05年の宝塚記念を勝つなど、GI3勝をあげた牧場の至宝のような牝馬に、ディープインパクトを配合した牡馬を市場に出すこと自体が、オーナーブリーダーとしては考えられない事態だった。

 昨年はセレクトセールへの上場馬がなかったが、今年はレガッタの2歳下の全弟を含めて1歳馬3頭を上場。レガッタの全弟は売却されなかったが、ダノンシャンティとシーイズトウショウ(03年桜花賞2着)の間の牝馬が1500万円で落札。1週後のHBA(日高軽種馬農協)セレクションセールでも3頭を出して1頭が売却。8月のHBAサマーセールでは11頭を上場して8頭が売却。牧場の規模を考えればディスポーザルに近い状況で、誰が見ても明らかに尋常でない状況を受け、セール終了翌週に閉鎖が報道されるに至る。

 10月5〜7日にはHBAオータムセールが開催され、21日には商社「ジェイエス」の繁殖牝馬セールが予定されている。牧場のホームページを見ると、一部の繁殖牝馬と当歳馬は既に売却先が決まり、1歳馬は12頭がオータムセールに上場予定。2歳馬3頭は「トウショウ」の冠馬名でデビューを準備中。残った繁殖牝馬はジェイエスのセールに上場する予定で、両市場は文字通りのディスポーザルとなる。名門牧場の幕引きが迫っている。

引き際はきれいに…


 オーナー系牧場の撤退と言えば、思い出されるのは11年のメジロ牧場だ。同年4月に解散が報じられた後、北野雄二代表(当時)が東京・六本木のJRA本部で行った記者会見に筆者も出席したが、北野氏は「傷口が深くならないうちに」と話していた。メジロ牧場は独立採算で、負債が重なり、自転車操業になる前の段階で撤退を選んだが、今回のトウショウ牧場の例も、オーナー側が「傷口が深くならないうちに」と、決断した模様だ。

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1964年1月19日、東京都出身。87年4月、毎日新聞に入社。長野支局を経て、91年から東京本社運動部に移り、競馬のほか一般スポーツ、プロ野球、サッカーなどを担当。96年から日本経済新聞東京本社運動部に移り、関東の競馬担当記者として現在に至る。ラジオNIKKEIの中央競馬実況中継(土曜日)解説。著書に「競馬よ」(日本経済新聞出版)。

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